ヴィンテージジーンズの迫力のある色落ち、経年変化が出す存在感。
そのもとになる1940年代から50年代につくられたジーンズのディテール。
ざらつきやムラ感を持つセルビッジデニムでなければ、ヴィンテージのようなかっこいい色落ちを再現することはできない。
これらを研究し、こだわり抜いた製法でデニムを世に送り出すブランドが日本にたくさんある。
これらはレプリカジーンズとも呼ばれる。
旧式の力織機を使ったデニム作り。大量生産とは逆を行く生産方法。しかし、穿き込み・洗濯を繰り返すほどに体に馴染み、経年変化が進み、風合いが増し、自分だけのジーンズになっていくという最高の洋服。
そんなジーンズをつくっているブランドを紹介します。
この記事を書いている人
2005年頃よりレプリカジーンズにはまり、様々なブランドのショップを渡り歩いては自分に合うジーンズを探した人。2013年以降新しいジーンズを買っていないが、最近次の一本を探している。
Fullcount、Denime、The Flat HeadをはじめSOMETのような少しレプリカジーンズとは趣向の違うブランドも穿いてきて、はき心地・色落ち・シルエットが自分に合ったFULLCOUNTを特に気に入っている。
日本には本当に素晴らしいデニムブランドが多いので、ここで紹介していきたいと思う。
WAREHOUSE&CO. / ウエアハウスカンパニー
圧倒的なクオリティと名高いウェアハウス。ブランドのコンセプトとして「ビンテージ古着の忠実な復刻」というテーマを掲げ、それを追い続けている。
その色落ちには定評があり、人気のデニムブランドとなっている。
色落ちしたデニムのサンプルは公式サイトに紹介されているので、ぜひじっくりと見てほしい。
素晴らしい雰囲気を感じ取れると思う。穿き込むほどにヴィンテージのような雰囲気を見せる生地やパーツをもとに、1001XXを始めとする定番モデルから900XXといったスリムシルエットのモデルまで展開しており、幅広いスタイルに合わせられる。
昔はスリムモデルはなかったと記憶している。2005年頃に色落ちに憧れ購入しようとしたが、店舗で試着したところ自分には合わず、泣く泣く諦めた記憶がある。今はスリムシルエットもあるので、個人的に一番試してみたい思うブランド。
2021/2購入しました:ウエアハウス900XXを購入。試着なし、ネットで買って、裾上げして、穿けるようになるまでの流れ。ワンウォッシュ状態の写真も紹介。
FULLCOUNT / フルカウント
綿花の中でもハイクオリティーとして名高いジンバブエコットンを使用。肌に柔らかく馴染むような伸縮性、汗を十分に吸収し排出する特性を持ち、素晴らしい穿き心地を実現している。
公式サイトにはこう書かれている。“最高の日常着”。
モデル数もルーズシルエットからスリムまで複数パターン用意されており、選択肢は広い。生地もスタンダードな13.7ozとXXモデルの15.5ozが用意されている。
公式サイトに色落ちサンプル集はないが、個人で所有しているもので色落ちレポートを作成しているので、ぜひ参考にしてほしい。ちなみに僕は1108, 1109, 1120と3本を持っている。
Fullcount 1109 色落ちレポート。またひとつ夏を超えて凛々しくなった姿を。
FULLCOUNT 1108 色落ちレポート。購入してから各パーツにダメージが出始めるまでの過程を29枚の写真で振り返ります
ちなみに、バックポケットのステッチは2019年のモデルチェンジ以降は無くなっている。
フルカウントの定番ジーンズモデルチェンジ(2019年1月生産分から)のお知らせを読んで。ステッチがなくなるのは寂いけど新しいモデルに期待しよう
UES / ウエス
最後の最後まで使ってほしいという想いでモノづくりをしているUES(ウエス)。
UESというネーミングは、屑(くず)・ごみといった廃品、waste[weist](ウエイスト)から来ています。 昔から日本でも鉄工所や整備工場などで機械の汚れをとるための雑巾(着古した服を再利用したもの)を“ウエス”と呼んでいます。
製品たちが使命を果たす前にクローゼットで眠ることなく、最後(ウエスになる)まで活用していただける事を願いながら、モノ作りをしています。
公式サイト及び、UES OFFICIAL ONLINE SHOPからそのモノづくりへの想いは伝わってくる。非常に充実した内容なので、ぜひ訪れてみてほしい。
特に、色落ちしたジーンズの写真が並ぶデニムギャラリーは圧巻。
UESは、レギュラーモデルからスリムモデルまで多様なモデルを用意しているのもGood。
記憶が定かではないが、2000年代はここまで幅広いシルエットで展開していなかったと思う。ぜひ試してみたいブランドの一つ。
–>購入しました:UES(ウエス)400ST スリムテーパードデニム【購入レポート】(2021.2.21)
STUDIO D’ARTISAN / ステュディオ・ダ・ルチザン
「日本で最初のセルビッチジーンズ」を作ったブランド、ステュディオ・ダ・ルチザン。
と公式サイトにあるように、レプリカジーンズの先駆者として知られるステュディオ・ダ・ルチザン。
忠実な再現ではなく、オリジナルをも凌駕するというモノづくりの精神で運営されている。
創業から一貫して守りつづける「モノ作り」のスタイルは、ジーンズをはじめとした古き良きヴィンテージウェアの忠実な再現ではなく、むしろそれらに最大の敬意とオマージュを捧げながら、独自のエッセンスや解釈を加え、新しい価値を創造するということ。
ぜひ公式ウェブサイトを見ていただければと思うが、とにかく想いのこもったモノづくりをされているのがヒシヒシと伝わってくる。
なお、公式オンライショップの色落ちギャラリーではいくつかのタイプの色落ちを見ることができる。
FOB FACTORY
あまりメジャーなブランドではないが、2000年代中頃にウェブ上でその色落ちを見て衝撃を受けた記憶がある。
今も定番のデニムは製作されている模様。実はFOB FACTORYだけは実物を見たことがないのだが、ぜひこういったブランドもあるということを知っていただきたくて、ここに挙げさせてもらった。
おわりに
それぞれのブランドごとにコンセプトがあり、ディテールや色落ちの雰囲気は異なる。
この記事を書くにあたって、各ブランドのホームページをじっくりと読み直したが、古き良き時代のモノづくりを再現する熱意が改めて伝わってきた。これらは各ブランドの創業以来ずっと変わることなくブレずに続けられているもの。
これからもいいモノをつくりつづけてくれると信じている。また、ダメージが発生しても修理してくれると思う。だからこそ安心して今の一本を愛用できる。
このようなレプリカジーンズで色落ちを楽しむなら、まずは各社の定番デニム生地でつくられたモデルを選んでみて欲しい。間違いないからだ。シルエットは自分が気に入ったものにしよう。シルエットが合わないと結局穿かなくなってしまう。
購入したら、リジッドの状態からまず洗濯して縮ませ、そこからはき込むところから始めて欲しい(もちろんワンウォッシュされているものを購入しても問題ない)。
すぐに色落ちすることはない。
時間はかかる。
でも時とともに変化していき、やがて自分だけの最高の一本になる。
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