本屋を歩いていたときに目につき読んでみた「人事ガチャの秘密」。
前々から思っていた、なぜ日本は定期人事異動という仕組みがあるのか?これについてのヒントがないかと思って手に取った。
著者藤井薫さんは40年以上人事の仕事に従事してきた方。30歳でコンサルに転職し人事制度改革等のPJに20年携わる。50歳からはシステムベンダーの取締役としてタレントマネジメント事業を統括。57歳からはパーソル総研へ。
本書では様々な人事関連の内容が記載されているが、基本的にはいわゆるJTCでかつ社員数が多い会社をイメージすると良いだろう。本書の最後の方で調査対象の企業名が載っているが、日本を代表する企業が並ぶ。
調査の結果もベースにしながら、どうやって人事異動が決まるのか、一般論としつつ詳細が語られる。
人事に関わるキーワードも触れられていて、一つ一つが興味深い。
総合職とは何なのか。
いいテーマだと思った。
なぜ人事異動をするのか。
ここも解説される。当たり前と思う内容もあるかもしれないが、じゃあ実際どうなのよ、も本書は理解の上でコメントしている。実態をよく調べた上なのかなと。
環境は変わっていくので答えなんかないわけで、ただ、日本の人事異動の仕組みをこのタイミングでまとめた書籍としてとても価値があると思ったし、興味深く読んだ。
日本の大きな企業の人事部がどんな課題を抱えているのか、最近のトレンドは何か、そういった観点の解説が豊富。自分の会社の人事制度はどうなのか、どういう背景があるのか、視野が広がるに違いない。
最後の方は人事部へ向けてのメッセージ。
これからの時代、専門性を持った人は他にいい環境があればすぐに辞めてしまう。そもそも著者も一つの会社でずっと仕事をしたわけでもないようであるし、各企業は変化を問われる時代なのかなと。
本書の最後でも触れられているが、パーソル総研のグループビジョンは「はたらいいて、笑おう。」らしい。
いい言葉を聞いた。
おわりに
海外で仕事した影響が大きいのだけど、僕はどちらかというと個人主義で、自分のスキルもキャリアも自分で考えるべし派。ただ、会社の異動に伴い違う世界で仕事をする機会をいただいたが視野がかなり広がったので、それ、いわゆる異動ガチャ(?)、についてもどちらかというと肯定派寄り。もちろん合わない異動もあると思うので、メリット・デメリットある話ではあるけど。
本書は個人の視点や海外はどうしてるかの観点では語られない。この点、補足版とか他の本があったら読んでみたいところ。
専門性がより重要になっていく今後、日本のビジネスパーソンもプロスポーツ選手のようになる時代が来ると思う。
選手と監督では専門性が違うし、選手の方が監督よりも収入が高いこともある、という世界。選手として40代でも現役、というプレーヤーもいる。
この道にどのような未来があるのか。いつものテーマにつながるわけである。
おしまい。
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