SDGs*という切り口からコーヒーの世界を見る。コーヒーというテーマを軸にSDGsを理解する。
*Sustainable Development Goals。エス・ディー・ジーズと読む。
サステイナブルは持続可能な、という意味。”Sustainable”と”Coffee”の結びつきが本書でのメインテーマ。
すごく新鮮で、それでいて大変学びの多い本だった。
コーヒーを愛する人みなさんにお勧めしたい書籍。
コーヒー豆を買うとき、どのように選んでいるだろうか。僕はどこの国の豆で、とか、焙煎の仕方とか、あとは風味の説明書き等をチェックして選んでいる。
しかし、もっと向こう側は?コーヒー豆生産の背景とか、歴史とか、と言われると何も知らなかった。
この本はそこを学ぶことができる。SDGsという切り口ではあるが、地理、歴史、コーヒー豆の知識、設備や環境への負荷、人、ビジネスの仕組み…目の前のコーヒーの背景にあるストーリーを幅広く、深く理解することができる。
上流から下流まで、昔から今に至るまで、全ては結びついている。
本書はJose川島良彰さん(コーヒーハンター)、池本幸生さん(東京大学教授)、山下加夏さん(サステイナビリティ・アドバイザ)の共著。
表紙には川島良彰さんのところにコーヒーハンターと記載があるが、最後の紹介では、株式会社ミカフェート代表取締役社長、日本サステイナブルコーヒー協会理事長、2019年『ニューズウィーク』の「世界が尊敬する日本人100」に選ばれるなど、と幅広い活躍の記載もされている。それぞれの専門性や経験、知識が融合して生み出された一冊と感じる。
自分で調べるだけではなかなかたどり着けないであろう世界を、本書で知ることができた。
本書から学んだこと
コーヒーの品種、アラビカ種とロブスタ種とは。
各国の特徴(中南米、ベトナム、アフリカetc.)、地理や歴史。コーヒー生産に関わる人たちと教育。
コーヒーの価格、生産者の取り分はどの程度か。それは適正なのか、どう考えるのか。
コーヒーの精選、ウォッシュドとナチュラルの違い。コーヒーと水の関係。
etc.
知ってるようで知らないこと。世界地図を眺めながら、購入したコーヒーのパッケージをチェックしたりしながら読み進めた。
写真も多く、イメージしやすいし、読みやすくまとまっている。SDGsの各項目ごとに章立てしてあって、ちょこちょこと読むにも良いと思う。
この本がお勧めな人
コーヒーを愛する人たち、誰にでもお勧めできると思う。
誰がどこでどのようにコーヒー豆をつくっているのか、学ぶと世界が広がるはず。
あとSDGsがしっくり来ていない方。コーヒーというわかりやすいテーマを軸に、SDGsの趣旨の理解が深まると思う。
僕がここ最近読んだ本の中で、かなりヒットした一冊。
おわりに
タイトルにSDGsという言葉があるが、SDGsはあくまで一つの観点であって、もちろんその着想とかSDGsへの理解が深まるといったポイントも大きいのだが、本質はそこではないと感じた。
本質はやはり、コーヒーとそれを生産する人たちの生活、環境、ビジネス、ビジネスに関わる人、そしてコーヒーを飲む人。そしてサステイナブルとは。
いつも飲んでる飲み物なのに、知らないことがあまりにも多いな、そう学べた一冊。次のコーヒーがまた一つ違う味わいになりそう。
コーヒー好きな方にはぜひお勧めしたいなと思った本です。