ライカM10-Rを買うことが先に決まったものの、しばらくレンズのことを考えるのは保留にしていた。容易に決められることではないからだ。
M10-Rが届く日、というデッドラインが決まらない限り、決定できないだろうと思っていた。
M10-Rの配送予定日が決定してから、僕はレンズ選定に動き出した。
忙しい日々だったが、移動中や、寝る時間を少し削って調べ、あとはシャワーを浴びながら、歩きながら考えた。
答えはないし、どのレンズがいいのかは人それぞれ。だからこそ、ネット上にあるいろんな人の悩みの記録や解説は大変興味深かった。
だから僕も悩んだ記録を文章にしておこうと思う。実は相当悩んだと思うので時系列で書き出すと終わらない。なのでできるだけ簡潔にまとめたい。
M型ライカの場合、現行品からオールドレンズまで、そして他社製品まで、選択肢が横に縦に幅広い。
そんな中、僕はSummicron-M f2/50mm 3rdを選んだ。
50mmを選んだ理由
まず一つ、前提があって、いつかはApo Summicron M f2/35mmを使いたいという憧れがある。あと、今28mm単焦点レンズのQ2もある。
だから35mm以外の焦点距離のレンズにしようと思った。
ならば50mm。
COVID-19でいろんなところに行けない今、景色よりも家族。人を撮るなら50mmだと思うに至った(ここに至るまでに相当ぐるぐる考えている)。
ライカのレンズとした理由
ライカかライカ以外か。
お値段だけ見れば、お求めやすい価格でもよく写るレンズはたくさんある。最初はそれで十分じゃないか、練習用レンズとして割り切って。そう思う瞬間もあったが、ここまでどっぷりライカに浸かっておいて、結局すぐにライカがいいと思うと考えた。見た目も大事で、ライカの統一感も捨てがたかった。
いろんなブランドのレンズも結構探したけど。最終的にはそう整理した。
ちなみに、ライカに決める前、Nokton ClassicとかVintage Lineとか相当調べた。いいレンズと評判だが、自分の心が最後のところで動かなかった感じ。
調べたレンズと決定に至るまで
ライカの50mm。これがまた奥が深い。
製品の幅と歴史がある。
頭に残っていたことば
以前ライカのお店で少し雑談したとき、「ライカQ2を使ってるなら、アポズミクロンは同系列、バキバキに写るタイプ。M10を買うなら違うタイプのレンズもいいのでは」というコメントをいただいた。そのときは、そうなのかー、と流してしまったが、これが頭に残っていて、せっかくなら違う特徴のレンズもいいのかなと思った。
そうすると俄然オールドレンズまで視野に入ってくる。沼だ。美しい沼が広がっている。
調べたレンズ
まず最初に、『ライカMLレンズ・ベストセレクション』と『M型ライカの教科書』という本は何度も読み返した。
現行・オールドレンズが何本も紹介されてる。
あと、Googleでライカ レンズ 50mmとかで調べまくった。記録をウェブに公開している皆様に感謝。本当にありがとうございます。
この中から特に調べたのは、
Leica Summicron 50mm 1st, 2nd, 3rd, 4th
Leica Summilux 50mm全般
Leica Sumarit 50mm 2.4(現行。フードがかっこよかった)
写りがどうなのか、M10と組み合わせたときの見た目はどうか、重さは、最短撮影距離は、お値段は、使っている人の率直な感想は…
昔のレンズは最短撮影距離1mというスペックも多くて、実用性を考えて少し選択から外した。
Summiluxは少し重そうに感じたのと、麻痺してるとはいえ、やっぱり高いなというのがある。ただ、かなり気持ち奪われる感じ。。
Sumaritはいいレンズらしいのだが、突き抜けた評判が見当たらなかったというか、もちろん使ってみないとわからないのだけど、やっぱり最初はSummicronがいい、となった。間違いないレンズ。
ではズミクロンのどの世代にするか。もう決められない。たくさん調べている中で、もちろんマップカメラさんのウェブサイトもひたすら眺めるわけである。
実はこの時点で2ndがいいなーなんて思っていた。写りはオールド感もあるらしい。そういえば一瞬1stに揺れた時間もあった。
決定のきっかけは。
何日も見ていて、ある日ふとシリアルナンバーが気になった。
そういえば、シリアルナンバーで製造年がわかる、と聞いたことがある。Googleで調べると英語、日本語同じ情報が並んでいた。
で。たまたまそのときマップカメラさんで開いたレンズのナンバーが自分の生まれ年のものだった。良品。
これが、最終決定の瞬間だった。
これにしよう。
オールドレンズがどうとか、色々思ったのだけど。そもそも定義もよくわからないし、その違いを知るにはいろんなレンズを使ってみないダメだろうし(おっと危ない…)。
Summicron M f2/50mm 3rdは写りは評判はいいし、角(ツノ)もある。フードは内臓ではなく別途付けるスタイルでデザインもいい。間違いないだろう、と。
そこからは早かった。
フードもマップカメラさんで探し、2つ揃ってすぐに購入手続き。
あれだけ色々調べたのに、結局ロジカルではなく、インプレッションで決めてしまうあたり、やっぱり頭のネジが何本も緩んで外れてるな、という気もする。
高ストレスでいっとき自分の頭を手で強く叩く癖がついてしまったが(今は自制してなんとか止められた)、ネジが外れたのはそのときだな、きっと。コロン…と。
でも。こういう出会いや直感が大事で、道具に魂が宿ることもある。
おわりに
さて。
自分が生まれた年に製造されたレンズ。なんというロマンだろう。
それが今も使えて、価値があるものとされている。5年や10年じゃない。30年とか40年も前のもの。今でもお値段十分にお高い。特に最近は高いらしい。でも欲しいときが買い時。
そういえば機械式時計でも生まれ年のものが欲しいなぁなんて思ったこともある(まだ手に入れてない。最近探してもないけれど)。Apple Watchは最近手放していて、今は機械式時計しか持ってない。僕はロマンに弱いらしい。
これで、今年生まれたカメラと、自分が生まれた年のレンズを組み合わせることになった。
今と昔。これで未来を記録していくということになる。
ロマンあふれる道具が完成。
大事には使うが、大事にしすぎて出番がないということはないようにしたい。ガンガン使う。それが最もその道具に敬意を表することになると考える。
こんな記事が役に立つのかわからないけれど、とりあえず自分の記録として残してみた。
以上、ライカQ2から入って、M機に心奪われてしまった人の思考でした。次は、Leica M10-R Black PaintとSummicron M f2/50mm 3rdに、命を吹き込むという記事になります。多分。