なぜ多くの方がライカでモノクロ写真を撮るのか気になっていた。ライカさんは、なんならモノクロしか撮れない100万円のカメラすら出してくる。
階調の豊かさとか、光と影の本質を、といった文言は見るのだが、技術的なものはあるとしても、そしてなんとなく理解できるとしても、何かしっくり来ていなかった。
ある日、ハービー・山口さんの対談動画をを聞いてみて、ああ、そうかと思う表現があった。
モノクロ写真はみる人の想像の範囲が広がる、と。
彫刻は一色ですよね、と。でも作品として成立している。色はみる人が想像する。作品になる。
すごく納得感があるものだった。なるほど。
でもこれを聞いて、自分がカラーで撮りたい理由が明確になった。
僕は作品が欲しんじゃない。自分が見たものを記録したい。
そのときみた景色や、人には色がある。それは自分にとっては大事な情報。
自分の貧弱な目とキャパシティの小さい脳。カメラはこれを強化してくれる、人生を記録する相棒になる。
カメラは自分の目以上のものが見えてることが多い。そして記憶しきれない数々のシーンを残してくれる。後で見返して、その瞬間への理解が深まったり、より強く記憶に残るようになったりする。
だから僕にとって、写真はカラーである必要がある。僕がみている世界は色があるから。
ライカというのは大変危険なブランドで、次から次へと魅力的なプロダクトを提案してくる。モノクロ専用機はシンプルを極めたデザインだったりして本当にかっこいい。
そして、カラー機で撮ったものだけど、モノクロの写真を見返すと、これはこれでシャープでいいような気もしたりする。
カメラにあるモノクロ機能でたまに撮るのは、感性を磨くためにもいい気がする。心がグレー色で見えてる景色が暗いときは、モノクロ写真の方がある意味正しく世界を捉えてるのかもしれない。
でも。今回の自分なりのモノクロとカラーの整理で心が落ち着いた。
僕は基本カラーで写真を撮りたいと思う。自分で見た何か、を残していきたい。
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