いつも忙しい。自分の仕事をする時間がない。
そう思っているマネージャーさんは世の中にたくさんいるのではないだろうか。だからこそこの本が多くの人に読まれ、高い評価を得ているのだと思う。
「1分間マネージャーの時間管理 働きすぎを解消する仕事のさばき方」
管理者としてどのように考え行動すべきか。どのように部下と向き合い仕事を任せるべきなのか。そういった観点の内容が充実しており、次のような方におススメできる。
- 課長、マネージャー、チームリーダーなど部下を持ちチームの仕事に責任を持つ方
- いつも忙しく、無数のタスクに忙殺されている方
- 管理職の入門書として1冊読みやすい本を探している方
管理者の仕事というのは本当に難しい。仕事の進め方に何かヒントが欲しいと思っているのなら、さっと読めてしまうこの本を一度読んでみて欲しい。
「1分間マネージャーの時間管理」の特徴
この本にはユニークなポイントがある。それは“次の対応”のことを“サル”と呼び、そのサルをどのように扱うか、どのように部下に世話させるのか、といった表現で管理者のやるべきことを解説していくところだ。
サルは部下からだけではなく上司や他部署からもやってくる。
部下に任せておけばいいサルをわざわざ管理者が引き受けてはいけない。管理者になるくらいの年齢の方は、経験も豊富で仕事も効率的に進められるから自分がやった方が早い、となりがち。だけど、それを続けていては部下が育たない。そして一番重要な管理者としての仕事ができない。
部下の仕事をすることが管理者の仕事ではない。部下が仕事をできるように育て、任せ、管理することが重要。
その重要性をこの本は何度も教えてくれる。
面白いなと思ったことの備忘録
部下と上司とどちらが時間に追われているか?
本来部下が扱うべきサルを上司が抱えていると上司の方が忙しくなる。
余裕がないのが部下の方なら、それは部下が自主的に仕事を進めていて、上司がいつも余裕がないのならそれは上司がサルを扱い過ぎているということ。
これはとてもわかりやすい判断の仕方だ。
上司が忙しすぎれば承認も得にくいし、そもそも人事や方針作成などの上司しかできない仕事が回らなくなり組織としてはマイナスだ。
担当者として仕事をしていて自分の方が余裕があると思ったら上司を助けた方がいいだろう。それが自分の所属する組織の今後に影響するかもしれないから。
仕事を任せることについて
サルとは次の対応のこと。次の対応が決まっていない場合は担当者に考えさせることが重要。じゃないと担当者は自分で考えて行動できなくなる。そこのバランスに多くの管理者さんは悩んでいると思う。
本当にリスクある仕事を部下に任せっきりにすることは危険。会社が傾くほどのリスクを管理しないことは管理者として失格。
そうは言ってもマイクロマネジメントをしていたらいつまでたっても上司が仕事を細かく管理しなくちゃいけないことになる。それは現実的ではない。
部下に一任するまでの考え方についてもこの本は紹介してくれている。参考になる。
子育てについての言及も
部下との付き合い方、という点は子育てにも共通する部分もある。
親が過保護になり、子供の“次の対応(サル)”を代わりに引き受けてしまうことも多い。そうすると子供は育たない。
子供に苦労はさせたくないと思う心が強すぎると、逆に子供の対応力が磨かれない。ときにはサルを任せ自分で考え対応させる。その大切さを教えてもらった。
かわいい子には旅をさせよ、というがその通りなのだろう。旅は次の行動の判断の連続だから。
成長させるには余計な世話は焼かないこと。
おわりに
この本で学べるのは、マネジメントの手法。
それをサルの話というちょっと一風変わった表現の仕方で解説してくれる。
マネージャーとして限られた時間をどこにあてるのか。考える時間を確保するためにどうしたらよいか。ヒントがもらえるはずだ。
何でいつもこんなに忙しいのだろう?その疑問をただ流すことなく、しっかり自分で受け止めて課題を解決したい。そんな人にとても参考になると思う。
僕はいろいろと実践中。
人生日々勉強。そして実践でのトライアンドエラー。うまくいかないことの方が多いけど、新しいアイデアを考えながら明日も仕事を頑張ろう。