Leica Apo-Summicron-M f2/35mm ASPH.は2021年に発売された最新のレンズの一つ。
コンパクトながら、ディテールまでシャープに描き、高い描写力を持つ単焦点レンズ。
しかし撮影していると気になるのは、周辺の糸巻型歪曲収差。四隅が引っ張られたような写真になる。上が空・下が地面、のような写真や、ポートレートで背景をぼかしていれば気にならないが、直線が多い被写体を撮ると気になる。
以下はライカ社のウェブサイトで公開されている当該レンズのテクニカルデータ。
中央からある範囲まではわずかに樽型になって、そこから外周に向かって糸巻きになるパターンに見える。だから余計に隅の歪曲が気になるのかもしれない。
この補正対応をどうするか検討した結果、2023年2月時点ではLightroomが良いであろうという結論に至った。
以下、個人的に色々トライアルしてみてのメモ。
なお、僕はSony α7(初代)を使っていた頃はRAWを少しいじったものの、2020年にLeica Q2に替えてからほとんどをJPEGのみで撮ってきた人間。Capture OneもLightroomも使い慣れてないため、理解に怪しいところがあったらご指摘ください。
現像ソフトで補正
まずは補正効果が判りやすくなるタイルの写真を用意する。
続いて、Capture OneとLightroomで補正を試みる。
Capture One編
Capture Oneでは2023年2月時点でもApo-Summicron-M f2/35mm ASPH.がサポートされていない。
よって自力で補正するしかないと思われる(詳しい人に聞いてみたい)。
上のキャプチャ画面は、レンズ補正(左)のプロファイルで「Generic pincushion distortion」を選び、ディストーションのスライドを動かして補正した状態。
しかし、画像を見れば違和感を感じるように、四隅を補正すると中央がより樽型になってしまう。
このプロファイルは画面全体が糸巻型歪曲(Pincushion distortion)になる場合にはよさそうだが、当該レンズには合わなそう。
素人が数時間勉強した程度ではこれが限界だった。。
Lightroom編
2023年2月時点、LightroomではアポズミクロンM35mmがサポートされていた。
まずはMacBook AirでLightroom Classicを立ち上げ当該写真を読み込んでみる。すると…
レンズプロファイルが自動で割り当てられ、歪みがかなり軽減されている。
感動。
ちなみに、「プロファイル補正を使用」のチェックを外すと、元に戻せる。
周辺光量補正はレンズプロファイル適用有無で変わらないように思う。Leicaさんのこだわりなのかな。ここは補正してくれるな、的な。
続いてデバイスをiPad Proに変え、改めてRAWファイルをLightroom iPadアプリで開いてみる。
こちらも自動でレンズプロファイルが割り当てられ、四隅の歪みが補正された。なるほど。意識しなくともこうなるのか。
レンズ補正を切ると、こちらも歪みを元に戻せる。
と、いうことで、歪曲収差補正の旅はおしまい。現状では気にしなくとも勝手に補正してくれるLightroomを選ぶ、というのが僕の結論。
あえて不自然な歪曲収差を残す理由もないと思うので、このレンズの作例で歪みが残っていたら、JPEGそのままか、RAWで撮ってレンズプロファイルのないソフト等で現像されたものと思われる。
おわりに
LightroomでApo-Summicron-M 35mm f2 ASPH.のプロファイルがサポートされたのはLightroom Classic ver.11.1からのようで、これは2021年12月にリリースされている。レンズの発売が2021年3月だから(製造が難しいようでなかなか手に入らないが)、数ヶ月でフォローされていることになる。
ライカ純正のLeica FOTOSアプリではLightroomとの連携があったりするので、ライカさんはLightroomと近いのだろうか。こだわりや気になるところがなければLightroomを使うのが間違いなさそう。
以前の記事にも書いたが、このレンズは後で補正することが前提のデジタル時代の最新レンズと思っている。が、、Lightroomありきなのかー、という感想を持った。カメラ側で補正を入れてくれてJPEGでも歪曲収差を気にせず使えるようにしてもらえると個人的には嬉しいのだが。。
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