ファインダーについて、これまであまり考えたことがなかった。
これまで使ってきたSony α7・ライカQ2はEVF(Electronic View Finder)搭載。ファインダーをのぞきながら設定を変更すれば、都度撮影する写真がどのようになるかが判る。
これはこれで便利だった。撮影しながら(シャッターを切る前に)明るさを調整したり、モードを切り替えてJPEGの色味を調整したり、等が可能になる。
ライカM10-Rを使い始めて2.5ヶ月。
Mシステムはこの撮影体験の部分が大きく違う。
ファインダー越しに見る世界は全く異なるものだった。
ガラス越しに、景色そのものを見ている。不思議な感覚。
それはレンズを通った光でもなく、液晶が作った景色でもなく。被写体から光がそのままファインダーのガラスを通過して目に入る(ピント合わせのため距離用の窓から入ってくる光もある)。
最初は、撮る写真がどのようになるかわからなくて不便に感じた。
ところが最近メリットの方が大きいと感じるようになった。
「実際のシーンそのものを見ながら、撮影することができる」
Sony α7、ライカQ2と使ってきたけれど、カメラを構えるとき、そのままの景色を見れないことが気になることがあった。
その瞬間は生で自分の目で見たい。そういう時がある。
日の出の瞬間だったり。
自分の目で見たいと思うから、カメラのファインダーはのぞかず、写真も撮らなかったこともある。
昔の記事で、僕は写真を載せつつこんなことを書いている(このときはSony α7使用):
たまたま2016/9/19の太陽の出処がウルルの場所と一致していた。陽がスッと姿を表した瞬間は忘れられない。
なお、そのシーンは写真では撮っていない。
ファインダー越しではなく、自分の目で見たかったから。
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でもMシステムは違う。
そのままの景色を見続けながら、シャッターを切ることができる。
これが撮るという体験を変える。
自分の目で目の前に広がるシーンを見て、それを切り取り記録に残す。「自分の目でその景色を見ていた」という体験が残る。子どもを撮っているときも、「見てたよ」という言葉の意味が変わってくる。本当に「見ていた」のだ。カメラが液晶画面に作る絵じゃなくて。
正直、レンジファインダー&マニュアルフォーカスでのピント合わせは慣れないと難しい。でもとても不思議な魅力があることに気づいた。
うまく言語化できないのだが、こういうところも重要なのか。と。
もちろんカメラのガラス越しじゃなくて、その瞬間を、撮影するという行動自体も捨てて、ただただ楽しみたいときもある。そういうときはカメラをしまっておけばいい。
ライカM10-Rを使い始めて、カメラという道具の本質だったり、機能、写真を撮るということ。を考えさせれる機会が増えた。
このカメラが人気の理由をまた一つ、知った気がする。