高城剛さんは普通の人と違う感覚の持ち主で、世界を飛び回り、自分の感覚を信じ、さまざまなことにトライしている。
時代の先端を行くというか、時代の先端とも違うところに行っているというか。
最新の著書は「分断した世界 逆転するグローバリズムの行方」。
世界を知る高城剛さんの目で見た”分断した世界”とはどんなものなのか。
主な内容
アメリカの大統領選やヨーロッパの難民問題からイギリスのブレグジットなど、世界の問題を歴史と高城剛さんの私見を交えながら解説してくれる。
タイトルは「分断した世界」、国境にまつわる話ももちろんある。
でも”壁”は国境だけではなく、さまざまなところに現れている、そんなことをこの本は示唆してくれる。
世界では一部の富裕層が大半の富を独占するという時代になってきた。
貧しい人は貧しいまま。
富を持つ層は教育にかける金額も多く、子供の教育レベルにも差がついてしまう。
そうやってスーパーリッチな階級と貧困層との差は開きつづける。
国境だけではなく、「社会の壁」も大きくなって行く。
GDPRについて
最後の部分で触れられているGDPRも興味深い。
GDPRとはGeneral Data Protection Regulationの略であり、日本語では「欧州一般データ保護規則」と呼ばれる。
個人情報データ保護を目的とし、個人に関するデータを集め処理する業者に対し義務や罰則が課せられるようになるもの。
この本では、以下のように例えられている。
噛み砕いて話せば、GoogleやFacebookが、世界中の個人情報を半ば勝手に収集し、広告主に売り渡すような行為を厳禁とする法律である。
….インターネット上における欧州の外堀に「壁」を建て、データを一切持ち出せないようにし、…..
なるほど、とてもわかりやすい。
EUはアメリカの企業に対し、ネットの世界に”壁”を作ったということらしい。
気になったので、ウェブ上で調べてみると、日本貿易振興機構(JETRO)のまとめが見つかった。ここでもGDPRを一言でいうと…とあり、
GDPRを一言で説明すると?=「個人データ」の「処理」と「移転」に関する法
はやり個人データ(名前やクレジットカードの番号など)を持ち出すことが規制される、ということで、目的は個人情報保護だと思うが、やるなら徹底的にというのは欧州らしい。
一度壁を建ててしまうと、取り払うのは相当のパワーが必要で、当面変わることはないと思う。これによってどれほどの影響がでてくるのだろうか。僕はまだ肌感覚で理解できていない。
ブログでGoogle Analyticsを使っている方はメールが届いたかもしれないが、Googleもこの対応に迫られていることがよくわかる。
世界では大きな流れの変化が起きている。
常に時代は変化していて。
この本はそれを教えてくれる。
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その他 読後の感想
歴史の部分や事実説明の部分のボリュームも多くて、僕はもっと高城さんの考えを交えてもらってもいいかなと思った。今作については、細かいところはざっと読み飛ばしながらエッセンスを学ばせてもらった感じ。
今世界で起きていることを違った視点から解釈できるので、興味のある方はぜひ手にとってみてはどうだろうか。