新一万円札の顔となった渋沢栄一氏。
今まで縁がなく読んでこなかったが、このタイミングで渋沢栄一さんの本を読んでみよう、そう思い『現代語訳 論語と算盤』を読んでみた。
ボリュームも多くなく大変読みやすいのでおすすめ。
激変の時代を生き、日本という国のため、海外との文化の違い、日本・海外の歴史をよく理解した上で日本の進むべき道を定め、多くの活動に精力的に取り組んだ方。何をどう考え、どう行動されていたかがよくわかる一冊になっている。
また、日本の近代史の振り返りにもなる。徳川慶喜や大久保利通、西郷隆盛といった誰もが知る名前が出てくるし、どういう時代であったのか、渋沢栄一氏の視点からの日本を感じることができる。
本書を読んでいると「国家の」という視点に何度も出くわす。
視野を広げろとはよく言われるが、国家レベルの視野を持てとはなかなか言われない。とはいえ仕事によってはこの視点も重要。
国民皆が精神を鍛え、国家を考えることにより国の繁栄につながるという視点は、そういう部分もあるかもなと思った。今は個人の権利とか、自由とか、そういうポイントが重視される傾向だけど、国家間の争いや商売の競争はあり続けるわけで。ここは深く考えたことはなかったけど、日本に未来はないから外に出よう、という考えを皆が持ったら日本は無くなってしまうだろうし。とはいえ個人でできることはとても限られているし。
今度よく考えてみたい。
他にも多くの気づきを得られる本だと思う。日本を知る上で、誰もが読むべき図書なのではないだろうか。
商業、道徳、武士道とのつながり、武士道の本をもう一度読もうかなと思った。論語も読んでみないといけないのかなと。
また、広い視点での言及もあれば、個人個人での意識の部分も多々語られる。「成功などカスに過ぎない」という言葉はキツめだがいい言葉だなと思った。何を重視すべきか、いろんな視点が学べる一冊だと思う。
新一万円札の顔、歴史に残る人が何を語るのか、ぜひ読んでみてほしい。
その他
最後の補足部分で渋沢栄一氏がどんな人であったかがわかる。これはこれでとても興味深いが、歴史を作った偉人でも完璧な人ではなかったということか…