Mac好きな溶接工さんのブログ(以下リンク)を読んで、ぜひ読みたい思っていた書籍、「Creative Selection Apple 想像を生む力」。
Apple本【書評】【Creative Selection Apple 創造を生む力】はApple社員の疑似体験ができる本!
読みたい本リストに入れておいたのだが、この度ようやく読み終えた。
読み始めたらあっという間。
面白かった。
ソフトウェアのエンジニアがアップル社内での開発の話を語ってくれるのだが、その情景が目に浮かぶ構成。
僕が特に印象に残ったのは、iPhoneがまだ発売される前の開発中の話。
あの小さい画面(当時3.5インチ)にQWERTYキーボードを載せ、誤タップが繰り返されてもしっかり推測変換してくれる仕組みづくり。
そこに至るまでの過程がこと細かに描かれている。これがすごく面白かった。
ストーリー、そして身近にある、毎日使うiPhoneのソフトウェアキーボードの仕組み。
眼から鱗だったし、ほとんど無意識に使っていた。
でも仕組みを知ると感動が湧いてくる。
本を読みながら、途中で中断してiPhoneを持ち出し、実際にQWERTYキーボードで入力してみた。わざと誤入力してみたりして。
予測変換の表示の仕方、ユーザーの決定の仕方、自然な文字入力とは?
それをつくりあげたエンジニアの努力、Appleという組織の意思決定の方法。
それを実例をもとに学ぶことができる。
そして最高の製品を生むことができる理由とは。「Creative Selection」というタイトルが本書にあるが、著者が考える重要なポイントが語られる。
そして著者の想いも。
2007年iPhone発表プレゼンテーションは僕が最も好きなプレゼンの一つ。Apple好きで見たことない人はぜひ見てほしい。この本を読んでから見るとまた違って見えると思う。
本書を読むと学べることがたくさんある。
- Appleという会社が何を大事にしていたか。
- どういう仕組みで素晴らしい製品を生み出していたのか。
- ソフトウェアの大切さ。
いきなり素晴らしいモノは現れない。数々の意思決定を通じて最後の製品に至る。その実態の部分を本書で学ぶことができる。
ただしその素晴らしい環境を再現できるのか、という点においてはとてもむずかしい。
それができれば日本のメーカーは今のように苦戦していないと思うので。
Appleの凄さは分かったのだけど、どうしたらそれを実行できるのかに答えがないから面白いのかもしれない。そして今のAppleが当時のような革新的な製品を生み出せるのかどうか、Apple好きとしてはそこが気になる。
本書は、ソフトウェアの観点から、スマートフォンやタブレットがどのように開発されるのかを知れるので、興味がある方にはおすすめの書籍。
当たり前のように使っているソフトウェアキーボードやタップ・マルチタッチジェスチャーにどのような工夫がされているか。身近な話題でとっつきやすいテーマかなと思います。