たまたま見つけ、手に取った本、
「仕事を辞めてエルサレムで主夫してきた」。
この本は二つの観点で大変勉強になった。
一つは家族との海外赴任の大変さ。
もう一つは現地に住んでいた方の視点からの中東問題の考察を得られること。
以下読後メモ。
1.家族と海外赴任
海外に子どもが住むのはどういうことか。ある家族の経験を読むことができる。
子どもたちは相当に苦労することになる。親に何ができるのか。
日本から離れるということ。学校での出来事。何を言っているかわからない環境。海外に住むということ。日常。
家族の皆さんの葛藤、奮闘。帰国子女で英語ペラペラでいいよね、と簡単にいうことはできない。相当な努力を皆しているに違いない。
とある家族の物語であるが、読んでの学びも多かった。
2.イスラエルとパレスチナ
イスラエル、パレスチナ、ユダヤ人、アラブ人、etc..これについてどれだけ説明できるだろうか。
以前中東の本を読んだが、宗教と歴史、複雑な情勢をなかなか理解できなかった。
関連記事:『教えて尚子先生!中東・イスラムってなんですか?』を読んで。知らない世界を理解しようとしてみた。(2021.12.29)
学びたいけど難しくて理解が進まない。しかし本書は、それをわかりやすく解きほぐしてくれる。著者はそれぞれの立場の理解に努めていて、現地で自分で見て感じたことを交えて説明してくれる。両側の言い分を一冊でカバーできる本で、この問題を理解する最初の一冊としてすごくおすすめできる。
そして読んでみての感想は、改めてこの問題は難しい、難しすぎるということ。だから揉めているし、当事者同士だけの関係でもないからややこしい。
国際社会のいい評判を得ても殺されるか、非難されてでも生き残るかの選択肢と思って生きている人たちの考え方も理解しないといけない一方で、追い出され難民になり今も苦しんでいる人たちもいる。虐殺された悲しい過去があるからこそ、自分の身は自分で守る意識が堅いらしい。外部が何を言ったって曲げることはできないのだろう。難しすぎる。
歴史と地理と宗教とそれぞれの考えをみんなが理解することが重要。どこに解決の糸口があるかわからないし。
そして、「自分には関係ない」で済ませてはいけない。歴史を繰り返さないことも大事だから。
おわりに
ちょっとしたきっかけで見つけて読んだがすごくいい本だった。読書の醍醐味というか、自分は経験してないけど、他の方の経験から学びを得ることの素晴らしさ。
本書は分量も多くなくサラッと読める(中東問題の根深さという意味ではサラッとは読めないが、問題の難しさをまず知る意味でも読む価値がある)。
ということで、多くの方にお勧めしたい一冊でした。
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