冒頭から語られる衝撃的な幼少時。
サッカーに打ち込んだ背景。覚悟。
もともとの苗字は僕の知る「梅崎」ではなかった。
この本『15歳』はプロサッカー選手として活躍した梅崎司さんの2023時点の本である。
若い時からトップでプレーし、U-20の代表などでも活躍。本書では西川周作選手、渡邉千真選手、森重選手といったプレーヤーの名前も出てくる。
しかし、本書は著者のサッカーの歴史というよりも本人の内面が語られる一冊になっている。
彼をテレビやピッチで見たことがない人でも引き込まれるのではないだろうか。
僕は梅崎選手はとても好きなプレーヤーだったので、なおのこと引き込まれた。
靭帯損傷や断裂といった怪我を経験したのは一度ではなく、しかし怪我から必ず這い上がってきて活躍する姿には心を打たれた。
プレーは常に一生懸命で、多くのサポーターから愛された選手だった。
しかし、本書を読むと幼少期は本当に壮絶な日々を送っていたことがわかる。父親から母親への暴力。様々な出来事。
若いときにお母さんと弟と夜こっそり家を出るときの緊迫感。
自分が家族を養うんだ、と覚悟を持ってプロになった選手。背負ってるものも違ったことを本書で知った。
必ずしも順風満帆ではなかった中で、どのように前を向いて生きてきたのか。
そして印象的だったのは、そんな父親への思い、コメント。記憶。これは父親である人にぜひ読んでほしい。
ほんのちょっとした時間でも、子供の記憶には残るんだなと。日々を大事にしないといけないんだなと。
子どもは親からの愛情を必要としている。
梅崎さんのお母さんは本書を通してずっと登場するが、どんなに辛くとも我が子を支え続けた。著者の記憶に残る母親のアドバイス、行動。それも心にくるものがあった。
梅崎選手は、海外リーグで活躍している今の日本代表プレーヤーほど有名ではなかったかもしれない。しかし応援したくなる選手でファンやサポーターはたくさんいた選手。この本の内容からそれが滲み出ていた。生き方だったり、内面の葛藤から外から見える姿勢だったり、困難や苦しい環境に追い込まれた時の振る舞いや考え方はとても参考になるだろう。読む価値がある一冊だと思う。お子さんを持つ方、これから親になる方にも読んでもらえたらと思った。
最後に、敬意を込めて、梅崎司選手に歌われていたチャントでこの記事を締めたいと思う。
アレアレーうめさきー!アレアレつかさ、ラララ、ラララー

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