エンジニアが学んだことをお伝えします

阿部勇樹 僕はつなぐ

阿部勇樹さんの『僕はつなぐ』を読んで。愛される人柄を感じられる本。

2025-03-30Book

阿部勇樹。J1リーグ通算590試合出場、75得点。日本代表53試合出場、3得点。

ジェフ市原(現千葉)でデビューし、2007-2010浦和レッズ、2010-2012レスター、2012-2021浦和レッズと長く活躍した選手。

日本代表ではW杯南アフリカ大会でアンカーとして出場し、自国開催以外のW杯で初のグループリーグ突破に貢献した。

浦和レッズでは2007, 20017年とACL(アジアチャンピオンズリーグ)優勝にチームを導いている。

埼玉スタジアム 阿部勇樹 引退

ボランチのイメージが強いが、DFから攻撃的MFまでできて、フリーキックや高いPK成功率も含め攻撃力も備え、あらゆる場面で活躍できる能力を持つ選手だった。

ジェフでは21歳からキャプテンを任され、以降多くの年でキャリア終盤までキャプテンを務める。背中で見せるタイプのキャプテンではあったが、よく周りを見ていてチームを下から支えていたことは知られる。

僕はサッカーが好きでよく見るのだが、阿部勇樹さんは最も好きな選手の一人だった。ピッチ全体をよく見ていて、危険な場所を察知しては潰す。後ろから攻撃に貢献し、ゴールも狙う。目立たないけど、いるといないとで全然違うタイプ。一方で、熱いものを持っていて、体がボロボロでも弱音は吐かず最後まで戦い抜く。見ている人の心を動かせる選手だった。たくさん動かされた。

ちなみに我が子もお父さんの影響を受け、一番好きな選手は阿部ちゃん。2021年に引退してしまったが、今でも我が家の会話では名前が出る。好きな背番号は22。

さて、余談が長くなったが本書を読んでの感想。読もう読もうと思っていて遅くなってしまったが、読んだらあっという間だった。

読後の感想

Jリーグ、特に浦和レッズや日本代表のエピソードが語られることが多い。各シーズンの状況や選手の名前もよく出てくるが、見ていない人にはイメージが湧きにくいかも。

サッカー、特にJリーグをよく見る人はとても興味深く読むことができると思う。

本書では、オシムさんやペトロビッチさんなど、著者が指導を受けた監督を選手から見た文章が多い。それがとても参考になる。

オシムさんはとても怖い監督だったそうだが、なぜ叱られても納得いくのか、なぜ嫌な気持ちになることはないか。等。

ピッチ上でのキャプテンを長く勤めた阿部勇樹選手からの視点。監督として長く活躍してきたミシャ監督とオシム監督の共通点・違いも興味深かった。いい指導者に恵まれることのありがたさを学んだ。日本サッカーの今があるのは、こういった指導者が日本に来てくれたからなんだなと。

ビジネスの世界でも、指導者の役割は重要。世界で戦うには、世界を知る必要がある。

サッカーの本ではあるけれど、どうやってチームとして、日本として成長していくか、のヒントがこの本にはあると思った。

『僕はつなぐ』、タイトルに込められた想いは心に響く。

格言的な

20代後半のときの海外移籍に対する葛藤、悩みも響くものがある。

今いるクラブで結果を出してからいくべきではないか。でも今行かなければ引退後に後悔するんじゃないか。

2010年W杯南アフリカ大会に出て、世界で勝負したいと心が動き、当時阿部勇樹選手はイングランドのレスターへの移籍を決断する。

2010年天皇杯のとある試合だったと思うけど、移籍前に最後駒場スタジアムを一周してくれたのを覚えている。サポーターからは熱いコールが続いた。「世界を揺るがせー、俺らの阿部勇樹!」。愛された選手だった。

レスターではスタメン争いから這い上がっている。そういう経験もしているからこそ深みがあるのかもしれない。

イングランド2部のレスターで2年ほどプレーした頃、プレミアリーグのエバートンとJ1の浦和レッズからオファーがあったらしい。その際にプレミアではなくJ1の浦和レッズを選択。

これまた重要な決断だったはず。本書ではこの頃の話も語られている。

「だから僕は、決断した後が大事だと思っている。その決断が正しかったことを見せていく。正解にしていく」

おわりに

海外に挑戦するということ。そのタイミング。そして呼ばれて戻ってきてまた元のJ1のチームに貢献。苦難の道、中心選手として最初から闘い苦労して掴んだACL2017優勝。そしてそこから引退までの数年。本書に書かれる引退までのエピソードも阿部選手らしいなと思った。気配りのできる素晴らしい人柄。

多くの人に尊敬される選手。

色々と考えさせられた本だった。

阿部勇樹さんの求める一体感。それを監督として実現する日が来ることを見たい。

僕はスポーツとビジネスは似ているところがたくさんあると思っていて。サッカーに限らず、野球、ラグビー、テニス、etc.とこれまでも多くの一流選手・監督に関わる本を読んできた。

今回も個人的に読んでよかったと思える一冊だった。

「また戻ってきてよ」そう言われるような選手・コーチでなくては。そのヒントがこの本にはたくさんあった。

阿部勇樹 引退スピーチ
HOME

Related Posts

Category



Yo
エンジニア(Mechanical)。日々の生活や読書、仕事などから学んだことをまとめます。
好きなものはApple製品、コーヒー、革製品、デニム。旅とカメラも。Less is More.な生活に憧れる。
Profile詳細

© Yo 2017-2025