SIGMA fp Lはさまざまなカラーモードが用意されており、JPEGでの写真撮影も楽しめるように設計されていると理解。
ところがどうして、SIGMA fp Lに手持ちのライカのレンズをつけて色々なパターンで撮影してるとどうしても違和感が残る。ライカのカメラで撮れる写真にいつも感動を覚えるのだが、それがない。
色々とあれこれ撮ってみて、「青かぶり」が原因の一つではないかと思われた。
きっかけ
以下はみなとみらいを撮影した一枚。JPEGで撮ったもので特にカメラから出てきた色味は編集してない。
![みなとみらい SIGMA fp L 青かぶり](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/05/A68D17BA-25CF-46EF-AD80-0F0EDA7E6AC7.jpeg)
右側の壁の色が不自然。
拡大してみると:
![青かぶり 拡大 壁](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/05/A431521B-09B1-4B8B-A8E5-FB17B418EEAA.jpeg)
青のグラデーション。
あれ、いつもどう写ってたっけ…と不安になる。自然ではないと思った。
今まで純正のカメラ+レンズを使ってきたので、あまりこういうケースで悩んだことはなかった。青かぶりというやつなのだろうか。
青かぶりの確認
家に帰って壁を移しながら調べてみた。
以下の条件で撮影。
- SIGMA fp L+Summilux-M 50mm ASPH.
- ホワイトバランス(以下WB)はオートから1枚ずつ変更
- SIGMA fp L搭載のカラーモードはスタンダードで固定
- レンズは絞り開放
- ISO・SSはカメラ任せ
- 被写体は白い(ちょっと黄色がかった)壁
![SIGMA fpL Summilux 50mm](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/06/47488B3F-95B4-4C09-BB8E-E8528F1F9399-e1654030295220.jpeg)
1枚目。WBはオート。
![SIGMA FP ホワイトバランスオート 青かぶり](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/05/DBF77728-E611-4069-A147-886AFF40B717.jpeg)
青い。。?
右下部分を拡大。
![拡大 青かぶり1](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/05/262C6C7A-CE37-4F84-B81E-C31FBD3097C9.jpeg)
この拡大写真左上が写真中央部。カメラが白に合わせに行ってるのか、漂白された感じ?なので角の青かぶりが目立つのだろうか。
WBを「晴」に変更してみる。
![SIGMA FP ホワイトバランス変更 青かぶり](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/05/34EE5C02-9BCB-416F-9F29-B88DDABF1CF8.jpeg)
今度は中央は実物に近い色から少しオレンジ?よりになったが、やはり4隅が青かぶっている。
![拡大 青かぶり2](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/05/E238A5E4-62D0-4A66-96CB-78DDEBC26CB6.jpeg)
続いてWBを「曇」に変更。
![SIGMA FP ホワイトバランス変更 青かぶり](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/05/E1231727-0BE6-434C-8C27-5B131B344F01.jpeg)
青かぶり気にならなくなったが全体黄色味がかっている。
拡大してみると
![拡大 青かぶり3](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/05/E656C325-27CB-4A09-A36A-D061EE52135D.jpeg)
やっぱりちょっと青いような。写真とにらめっこしすぎてわけわからなくなってくる。
僕は純正カメラ+レンズばかり使ってきたので、こういうイレギュラーの対応が弱いことに気づいた。
ホワイトバランスとカラーシェーディング
ホワイトバランスを調整する方法以外にも四隅の青を補正する方法があった。
SIGMA fpには画面周辺に色が付く現象(カラーシェーディング)を補正する機能がありMENUより「SHOOT」タブ3枚目「レンズ光学補正」から設定可能。
モノトーンの何か、で良いようだが、僕はグレーカードを使った。枠に収まるようにフレーミングしてAELボタンを押す。あとはカメラが自動で補正を覚えてくれる。赤や青の補正度合い微調整も可能。
![SIGMA fp L カラーシェーディング](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/06/7BCD32E8-F54D-4859-BE28-63B53D1B0599-e1654029581632.jpeg)
違いをチェック
まずは絞り開放からチェック。レンズはズミルクス50mm ASPH.。
1枚目:カラーシェーディングなし、WBはK6000、カラーモードはスタンダード、F1.4、ISO100、SS1/800
![SIGMA fp L Leica Summilux 50mm ASPH カラーシェーディングなし](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/06/2FB8467A-E52F-49C6-9819-18195FE302E9.jpeg)
うむ。あおい。
2枚目:カラーシェーディングあり、WBはK6000、カラーモードはスタンダード、F1.4、ISO100、SS1/800
![SIGMA fp L Leica Summilux 50mm ASPH カラーシェーディングあり](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/06/686615FE-58CE-4F1D-B57F-2CAEA71643B4.jpeg)
同じ条件で撮ったが、明らかに周辺の青かぶりが改善された。写真全体で青みがなくなった気がするが、こっちの方が現物に近い。
続いてF8まで絞ってみる。
1枚目:カラーシェーディングなし、WBはK6000、カラーモードはスタンダード、F8、ISO400、SS1/100
![SIGMA fp L Leica Summilux 50mm ASPH カラーシェーディングなし f8](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/06/EED4861A-AF2B-4403-ABF4-2F39E9175DFE.jpeg)
F8まで絞っても周辺青かぶりするのかー、と思った。
2枚目:カラーシェーディングあり、WBはK6000、カラーモードはスタンダード、F8、ISO400、SS1/100
![SIGMA fp L Leica Summilux 50mm ASPH カラーシェーディングあり f8](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/06/295E55F6-B2FA-420A-819A-42FC1A7BC712.jpeg)
カラーシェーディング有りにすると周辺の青みが改善される。
ということで。Suimmilix-M 50mm/f1.4 ASPH.についてはグレーカードでAELボタン押すだけで青かぶりは気にならなくなった。気がする(青を眺めすぎて目がおかしくなった…)。改善は間違いなくされた。
今後色々撮って気になるのかどうか、見ていきたい。レンズによっても違うと思われるので、その辺も気になるし。
青かぶりの原因を調べてみたが…
Googleで検索しても周辺青かぶりは情報が少ないように感じる。シアンかぶりでも調べてみたけれど。
英語だとColor castというようで、英語の記事も探したが調査が足りないのか、ドンピシャの記事は見つけられず。。調査が甘いか…
一般論として広角レンズの方が周辺色かぶりしやすいと読んだ。マゼンダかぶりの方がよく出てくる。
受光角度が大事なのだろうか。周辺光量落ちするほどの口径レンズで絞り開放にするとセンサー周辺の光入射角度が悪いということなのだろうか。
受光量が効いているというのもどこかで読んだ。周辺光量落ち自体が悪さしてるのだろうか。。
うーん、分からん…
以下、調べたことメモ
カメラのセンサーは1画素ごとにフォトダイオードと呼ばれる受光部が設けられていて、光電効果で光を電流に変える。しかしこれだけでは色は判別できない。
そこで、1つのフォトダイオードの前にはそれぞれどれか1つ赤(R)・青(B)・緑(G)カラーフィルターが設けられている。しかし1つの画素では1色の情報しか得られない。SIGMA fp Lが採用しているベイヤーフォーマットは、赤(R)・青(B)・緑(G)それぞれR1つ・B1つ・G2つ計4つのグループをベースに配列されたもの。この4つのグループから色情報を集めて色を作っている。らしい。明暗差がある場所などで色を正しく認識できないケースがあり偽色が発生することがあるため、ローパスフィルターをセンサー前に置いて、光がセンサーに当たる前にある程度ぼかすことをしているようだ。
しかし今回の事象は周辺全体が青かぶりするので、周辺全体的にセンサーが青を強く出す(もしくは赤・緑が弱いのか)理由があるように思われる。
光量が少ないから青になるというのなら、絞ってISO抑えてSS短くしたら全体が青くなるのだろうか。それも違う気がするがどうだろう。でも光がたっぷりあって明るい時は周辺青被りがない気もする。受光角度も効いてるのだろうか。だとしたらどの広角レンズでも同じ色被りが出るはず。純正レンズならカメラ側が補正してるだけなのだろうか。もしくは個々のレンズ側に何か理由があるのか。。
あー、わからん。今度もっと調べてみたい。
とはいえ、レンズは改造できない(交換するしかない)し、カメラのセンサーも交換できない。できることはソフト側の対応。僕はJPEG撮影を多用するので出来るだけカメラ側で対応を完結したい。
SIGMAさんはfp Lにカラーシェーディング機能を搭載したということは、色かぶりの可能性を認識の上でソフト対応できるよう対応してくれたのだと思われる。ありがたい。もう少し納得いくまで追い込んでいきたいと思う。
僕は今回理由あってSIGMA fp Lを購入したが、もしライカレンズで静止画だけを撮るのならやっぱりおすすめはライカボディかなとは思う。
SIGMA fp Lは動画機能に加えて6100万画素(LPF有)の写真も撮れるし軽いしデザインもシャープでカッコいいので尖っててGood。使いこなしたい。。
おわりに
理科の実験レポート書いてるみたいになったが、これまでカメラを使ってきて初めての経験で大変勉強になった。
ここからはじっくり使い込んでいきたい。
(ちなみに、Summicron-M 50mm f2.0 3rdも同様の青かぶり事象が見られた。参考まで。。)
SIGMA fp L関連記事
- SIGMA fp L購入。ライカMレンズを使うため。動画を撮るため。(2022.5.28)
- SIGMA fp Lと共に買ったもの。SDカード、液晶保護フィルム、ソフトケース、三脚…(2022.6.6)
2022.6.18追記
ライカ社のインタビューで以下のコメントを発見。やはりここなのかなぁと。
本来デジタルカメラのセンサーというものはセンサー面に対して光がまっすぐ入ってくる事が理想的なのですが、Mレンズは小型なので光の入射角度が深いんですね。そのため、このMレンズの特徴に合わせたセンサーを専用に開発しています
ライカM10 インタビュー【前編】
2022.7.23追記
カラーシェーディング機能を使って撮ったら今度はマゼンダかぶりが見られた。
![SIGMA fp L Summilux 50 ASPH マゼンダかぶりマゼンダかぶり](https://engineershareinfo.com/wp-content/uploads/2022/07/220E8297-2BE3-402D-8D66-357E674155F2.jpeg)
これは参ったというか、心が折れたというか、状況によって青かぶり度が違うので常に完璧に補正することはできないということを突きつけられたというか。。
2022.7.28記事追加:SIGMA fp Lを手放すことに。Mレンズで好きな色が出せず。。