米国PEのライセンスを取得するには州への登録が必要となる。
その際に、3つのE、Education, Experience, Examinationsを満たす必要があると言われている。ExaminationsはFE試験とPE試験を通過する必要があって、それらについては以下の記事を参考にしてもらればと思う。
- Professional Engineerへの道。FE試験に登録する手順。まずは最初のステップを。(2019.8.3)
- PE Mechanical。試験の申込手順とかかった期間と費用。いよいよ試験は3ヶ月後。(2020.1.23)
今回の記事は、Educationの部分について。
Credentials Evaluationとは
米国以外の大学を卒業した場合、取得した科目や単位が米国各州の求めるものに相当することを求められる。
これを評価する仕組みの1つがCredentials Evaluation(CE)。これは各州が行うものではなく、NCEESが行う(なお、日本の大学でもABET(米国の技術者教育認定機関)と同等と認定されていれば、必ずしもCEは必要じゃないらしいので、ルールをよく読むと良いと思う)
評価の基準、NCEES Engineering Education StandardはNCEESウェブサイトに明記されているが、以下に抜粋する(2021年上期時点)。
- 32 college semester credit hours of higher mathematics and basic sciences
- 12 college semester credit hours in general education that complements the technical content of the curriculum
- 48 college semester credit hours of engineering science and/or engineering design courses
大学での単位が上記を満たしている必要がある。
Credentials Evaluationは簡単にいうと、日本の大学での科目・単位情報を成績証明書と卒業証明書とセットでNCEESへ郵送し、Engineering Education Standardを満たしているか評価してもらうこと。
書くのは簡単だが、この道は長く険しいものなりうる。
CE手順メモ
PE試験合格ののち、CEに取り掛かることにした。
まず、NCEESのウェブサイトが充実してるので、説明とQAを徹底的に読み込み、やるべきことを理解。
NCEESに評価してもらうためには、英語のシラバスや科目を説明する書類が必要。まずダメもとで大学に問い合わせてみるも、当時(20年くらい前)の英語版シラバスはないとのこと。そして英訳はやってくれないとのこと。。
紙のシラバスのPDF版はあったので、それをベースに英語版を作ることとなった。
英訳シラバスは多くの方にお世話になり、色々あったものの何とか作成。みなさま、本当にありがとうございました。。
英訳が完了したら再び大学と連絡をとる。資料を本人からNCEESへ送付することは認められていないので、大学から送ってもらう旨を説明。ご理解いただき手続き方法をご教示いただく(なお、ここも大学によってはどこまで対応いただけるかケースバイケースなので、シラバス英訳前にコンタクトを取っておくと良いと思う)。
以下の書類を全て自分で揃えて、一式大学へ送付。僕は念のため、学部・修士両方揃えて送付した。
- Transcript Request Form(学部・修士)
- 英文の成績証明書(学部・修士)
- 英文の卒業証明書(学部・修士)
- 英文シラバス(学部・修士)
その後、支払い手続きなどを行い、大学からNCEESへ郵送してもらった。米国への郵送にかかった2,000円ちょっとは自分で負担(大学の指定銀行に振り込み)。他にも証明書発行代とか自分で書類を大学へ郵送する費用などがちょこちょこかかっている。
なお、1.Transcript Request FormはMyNCEESのページから発行するもので、自分で印刷して大学へ郵送、必要事項を入力してもらってNCEESへ送る形とした。
英訳シラバスが揃って大学に連絡してからNCEESに発送してもらうまで、なんだかんだで1ヶ月くらいかかった。。
そこから2週間ほど待ってもNCEESから何の連絡も来なかったので、MyNCEESへログインしてみたらDashBoardにCredentials Evaluationの”Purchase”のボタンが。。!
メールはなかった。自分で気づけってことか…
すぐに350$をクレジットカードでお支払い(金額の感覚が麻痺している)。お金はこのタイミングで払う。
するとDash Boardには”In progress”の文字。
そこから10日とちょっと。Credential evaluationが完了したとのメールがAM3時(日本時間)に入っていた。朝起きてそれに気づき、すぐMYNCEESへログイン。
“Meets NCEES Standard”の文字。
Actions▼のタブから評価結果も見ることができるが、僕の場合結構ギリギリだった。
Math/Science Hours 33/32
Engineering Hours 49/48
General Education Hours 22/12
Elective/Other Hours 22/N/A
あ、あぶなかった。
Actions▼のタブから各州のBoardへ結果を送付できるようになってて、Credential Evaluatorのアドバイスによると、まず州へ送付してから次のステップを聞くといいだろうとのこと。
とりあえず、一つ大きなハードルを超えられた瞬間だった。。
シラバス英訳で困ったこと
NCEESのWebsiteには科目説明の内容記載例が載っている。各科目2−3行の簡易的なものだが、大学のシラバスは文章量が多く、どのように英訳すべきかは悩ましいところがあった。変に内容を編集しては大学側もOKしにくいだろうと。。この点については元あるものをベースにすることにした。
一方、先生によってはシラバスに科目の内容が全く書かれていなかったり(詳細欄が空欄)、そもそも当時受講した科目が見つからなかったり(理工学部全ての科目が載ってるシラバスだったので探すのが大変。1科目結局見つからなかった)、どうしたものかという案件がちらほら。
色々な対応方法があるらしいのだが、僕は「ないものはない」として空欄のままとした(要は科目名と単位数など有る情報だけ記入し、授業の内容は日本語にもないので英語版も空白にした)。これはかなりリスキーで、CEの担当者が単位にカウントしてくれないんじゃないか、それで単位が不足するんじゃないかと危惧したが、結果的には特に質問が来ることもなく、必要数も満足したということで通過できた。あまりお勧めしないが、科目の詳細内容空欄のまま提出して受理されないってことはなかったという一例として…
繰り返すが、誰も何も保証してくれないので、あくまでこういう例があったということでご理解いただければと思う。僕は悩んで進まないくらいなら行ってしまえ、ということで前に進めた。
そういえば修士分はカウントされていなかった。うーん不要だったのだろうか。学歴登録に修士も入れてたので、いるのかなと思ったのだが。よくわからない。修士分も求められるケースもあるらしい。勢いで学部と一緒にやってしまった方がよいと考えたので、特段後悔はないけれど。
CEを完了してみて
2020年の秋頃にPE試験を通過し、そこからJPECや各州のウェブサイトを見ながら調査を開始。
そこからCredentials Evaluationが必要であることを認識し(どの州も調べたところは大体必要になるようだった)、手をつけ始めた。
当たり前だが米国のライセンスであって、これらの評価は全て英語で行われるので書類は全て英語で提出する必要がある。
FE試験、PE試験の次にまだこんなハードルがあるのかと思ったものだが、何とか通過することができたため無事この記事を書くに至っている。お世話になった皆様、本当にありがとうございました。
過去に受講した科目を思い出すきっかけになったり、専門用語を学んだり、得るものもあったとは思っている。ただ、もうちょっとわかりやすくなってくれると嬉しいかなと思う。
今後トライされる方が無事通過することを祈念しつつ、この記事を終えたいと思います。少しでも参考になれば幸いです。進んでいく様子がイメージできればと思いNCEESの画面キャプチャも載せました。