課長という仕事は担当のそれとは大きく異なる。
カバーする範囲も、考える範囲・内容も全然違う。担当の延長で行う仕事ではない。
さて、いざ人事異動の指示を受けて課長になったとする。どのように取り組めばいいだろうか?
社内の管理者研修はあるかもしれない。
けれども実際にリーダーのポジションをやってみると感じることがある、机上の理論を知っていてもすぐに上手くマネジメントできるものではないということ。
いざ問題が起きたとき、どう振る舞うべきか。何をどこまで誰に報告すべきなのか?
こういうことはいざ課長になってみないとなかなかわからないもの。
でも課長になってからあたふたしていては仕事がスムースに進まない。事前にある程度意識や感覚を身につけておくのがベター。
ある程度職場のリーダー的役割を担うようになったタイミングで、将来自分が課長や管理職になったらどう行動するか、考えるようにするとよいと思う。それは日々の仕事において視野拡大にもつながるし、いいことばかりなはずだ。
課長という仕事を学ぶ上で勉強するなら、やはり「本」は欠かせない。リーダーシップといった一般的なジャンルから“課長の仕事”といったより特化したジャンルまで様々な本が参考になる。
課長1、2年目でかなり苦労したので、多くの方が事前に準備をしておけるといいなと思い、参考になる書籍をリストアップした。
以下に紹介する本は、実際に読んでいいなと思ったものです。
The「課長」に関する本
まずはいわゆる課長というポジションについての本から。
『そうか、君は課長になったのか。』佐々木常夫著
東レの取締役や東レ経営研究所の社長を経験された佐々木常夫さんが、試行錯誤をしながら得たノウハウや考え方をメッセージ風に伝えてくれる。
以前当ブログでも以下の記事を書いているが、何度も読み直すと発見がある。
課長になる前、なって実際課長の仕事をしてみて、そして苦しいとき、さまざまなタイミングで読むと得るものが違うと感じる。おすすめです。
『はじめての課長の教科書』酒井穣著
課長とは何か、課長の役割を網羅的に解説してくれている。人事評価などなかなか学べない点にも言及されている。非常に参考になる。
一方、課長としての心得、部下がどういう気持ちでいるのか、ふとすると忘れてしまいがちな大事なことも教えてくれる。だから繰り返し読みたい本。「人」にフォーカスを当てているところもすごくいいと思った。ただ組織論を述べた本ではない。
この記事を書くために、久々に読み返してみたが改めて気づきも多くいい本だなと感じた。
マネージャー・マネジメント関連書籍
課長とマネージャーに違いはないと思っている。ただ、管理する人、という訳は正しくないと思っていて、成果を上げるために何ができるのかという点が常に意識されるべきと考える。
マネージャーの役割について学べる書籍を2冊紹介したい。どちらも名著。
『マネジメント』 P.F.ドラッカー
有名なP.F.ドラッカー氏の書籍。課長になるときに読むべきというか、新入社員で会社入って数ヶ月から1年くらいで読んでもいいと思う。
僕は社会人2年目の頃に、本屋で出会い本をポストイットだらけにした記憶がある。今は殿堂入り書籍として、電子ファイルをiPadに入れている。
マネジメントというタイトルに関して色んな書籍が出ているが、“名著集”が上・中・下とあるのでこちらがおすすめ。以下は検索結果に飛びます。
『プロフェッショナルマネージャー』ハロルド・ジェニーン
経営の教科書とも呼ばれる書籍。内容は経営者向けかと言うともっと幅広い。
現場のマネージャー・課長の役割も意識できたりするので、何年か仕事をしてある程度視野が広がってきたら読んでみると発見も多いと思う。
経営者はなぜ数字にこだわるのか?そこをよく理解できたし、マネージャーとしての役割把握に役立ったと思う。
この本を読んでの書評は以下の記事に書いたので参考にしていただければ。
課長の仕事の仕方について
『1分間マネージャーの時間管理』
忙しすぎる課長はいいのか悪いのか。やることは無限にありいつだって忙しい、そんな人はたくさんいると思う。
この本は独特な表現を使いながら、どのように自分と部下の仕事をマネジメントすると良いか、提案してくれる。課長になる前や、やたら忙しいなと思ったタイミングで読むと発見が色々とあるはず。
「1分間マネージャーの時間管理 働きすぎを解消する仕事のさばき方」いつも忙しい管理者の方におススメしたい本【書評】
課長に限らないが、管理職や上司になる前に読んでおいた方が良い本
部下を持つということ。別に課長にならなくともチーム長として誰かを教育することもあるだろう。社会人でなくとも、部活やアルバイトなどで後輩を教育することだってあるはず。
ここはとても裾野が広い分野で色んな本があると思うけど、僕が過去読んでためになったものをここに紹介したい。
『新1分間マネージャー-部下を成長させる3つの秘訣』著者:ケン・ブランチャード/スペンサー・ジョンソン
どんなポジションでも誰かを教える立場にいる人におすすめなこの本。読んでみての書評記事はこちら:「新1分間マネージャー-部下を成長させる3つの秘訣」上司も部下も、仕事をする人はみんな定期的に読み直すべき本【書評】
この記事で僕はこう書いている。
この本は「人」の本である。
組織を作るのは人。仕事をするのも人。上司も部下も同僚も人。
だから「人」について向き合い分析し、エッセンスをまとめた書籍となっている。
どうしたら人はやる気になって仕事に取り組むのか、とても多くの気づきを得ることができる。
何回も読み直す価値があると思える本。
『3分間コーチ』
1分間マネージャーに近いイメージの書籍をもう一冊。
こちらも定期的に読むと時々で発見がある本。部下に対して自分はどんな態度をとっているのか、自身の振り返りにも使える。読むたびに反省。そんな感じ。
小手先の何か、というよりも、本質的に大事なことは何かを教えてくれる。
読んでみての記事:「3分間コーチ ひとりでも部下のいる人のための世界一シンプルなマネジメント術」を読んで
『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』松下幸之助著
松下幸之助さんが語るシリーズ。長年ご活躍された方のアドバイスは深く、ものごとの本質を教えてもらえる。
小手先のテクニックとかじゃなくて、心持ちとか姿勢とか、そういうものって大事だよね、ということで最後に紹介させていただく本として選びました。
過去に投稿した記事:【一生大切にしたい本】「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」。素直さ、熱意、人間の機微。松下幸之助さんから大切なこと、本質を学ぶ
課長になる前に読みたい本:おわりに
紹介した本は、マネジメントとプロフェッショナルマネージャーをのぞいてはさらりと読めるものばかりと思う。
ちょっと読んで頭に入れておくと、課長として仕事をしながら気づけることも多い。そういうことか!みたいな。理想は課長になる前、その課の中心メンバーになったくらいのタイミングからそういう準備をしておくと良い。そういう意識で働いてくれる右腕がいたら上司も大変助かると思う(というか超絶助かるのでぜひお願いしたい)
課長として日々忙しく仕事をしている中、またこれらの本を読み返すのも良い。朝会社に行ったとき、自分の課のメンバーとのコミュニケーションが充実するかもしれない。なすべきことに気づくかもしれない。
多くの気づきを得られると思う本をリストアップしてみましたので、少しでも参考になればと思います。何かおすすめの本があったら教えてください。
番外編
もう一冊、ぜひ読んでほしい本がある。これは、直球で課長について述べてる本ではない。でも、僕が課長職で悩んでいたときにかなり心に刺さった本だ。現場にいた方、現場で苦労した方がその経験と考察をまとめてくれた本。
『僕が18年間勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと』和田一郎著
現場での経験を惜しみなく記してくれている一冊。僕はこの本を読んでものすごく共感できたし、考え方がすごく参考になった。
大きな組織で働くということ。そのなかで奮闘するということ。
上司と意見が対立したときの中間管理職としての正しい立ち振る舞い、これについての考え方はとても勉強になった。
それらしい教科書的な本よりもよほど心に刺さる、心に残る。こんな組織で仕事してられん!と思っている方だけでなく、これから課長になる人、課長の立場で奮闘している人にオススメしたい本である。
以前この本について書いた記事はこちら:何年も働いた会社を辞めるか悩んでいるときに読みたい本。組織の中で働くということ(2018.5.28)