偉大な人に学ぶ。
読書はこれを可能にしてくれる素晴らしい方法だ。
「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」松下幸之助[術]、松下政経塾[編]
この本を僕は2009年に購入し、それから定期的に読み直している。今回記事にするために改めて読んだけど、やっぱりいい本だな、と。
パナソニックを一代で築いた、誰もが知る松下幸之助さんが考える大切なことは何か?
そのエッセンスがこのコンパクトな本に詰まっている。とても読みやすく、それでいて心に響く。
だから多くの方にちょっと時間とお金をかけて読んでほしいな、と思う。
そんな本です。
こころにおいておきたいことばたち
やるべきことをやる
戦略とか戦術とか、そういうもの以上に、そのときの道徳に従うということ、これが大事やな。何が正しいかということによって決行したわけや。買ったらええなとか負けたら困るとか、そんなことはもう余計なことや。勝っても負けてもよし、やるべきことはやるということや。そういう諦めがつかんと大事は決行でけへんな。
資本主義が行き過ぎて、ルールを破ってさえいなければ、お金になりさえすればいいような風潮もある気がする。
学校では成績で測られ、会社では業績で測られる。
経営指標だなんだと言われ、目標の数字を追い続ける。
企業不祥事が絶えない昨今、日本で働く僕らは松下さんのいう「何が正しいかということによって決行」できていない。
数字ばかり追っているけど結局成果に結びついていない。
パフォーマンスを数字でチェックしながら戦略を立てていくことはもちろん重要だけど、それで本当に面白い何かが生み出せるか?
安全に走る自動車を作る、決まった業務を着実に行う、そういった仕事は今後AIや機械に置き換えられてしまう。
これからの時代は、感性を活かしてなにかを生み出す力が重要になってくる。
根っこに戻って、道徳に従う、正しいことをする、その基本を守り、それでいて面白い何かを生み出していく。そうやっていかないと生き残れない時代になっているのかなと思う。
素直さ
自分の主観で見ると、たいていはまちがう。客観的に物事を見る。つまり、素直にものを見ることが大切である。
そういう素直な心でものを見るという訓練はどのようにしてやるかというと、まず心で念じないといかんわけや。朝起きたら、仏さんか、仏さんのいないところは屋根の方を向いて、お日さんを見て、お日さんの見えないところは山を見てもいいと。山に向かって、「きょうも一日素直な心でものを見るように、素直な心で行動するようにいたします。そのようにいたしたい」と誓うわけやな。
そして三十年やったら、素直の初段になる。素直な心の初段になれば、ものを見てもだいたいその実相がわかる。この品物はいいとか悪いとか、これは買うたらいかんとか買うていいとか、そういうことがわかるようになる。
ものの本質を見極めるために、素直にものを見る力が大切。
多くの情報が行き交う現代だからこそ、ニュートラルにものごとを見る心がもとめられる。
最近1つニュースを読んだ。アメリカではヨガやメディテーションに取り組む人が増えてきているらしい。
健康のためなのだろうけど、それはきっと体だけでなく心の健康のためでもある。
日本には禅の考え方が昔からあって、心を整える文化がある。
いまだからこそ、そういった取り組みが重要になってくるのかなー、と。
ヨガやマインドフルネス、禅のブームってこれから来るんじゃなかろうかと思う。
知識は道具、それをどう使うか
だから、知識にふり回されないように、一回、知識をみなここに出して、じっと見て、「ははあ、この知識はこういうふうに使ったらええな、この知識はこうやったらいいな」と、そういうふうにならないといかん。知識というのは道具やからな。身についた道具やからな。知識それ自身が自分ではない。道具に使われたらいかんと思う。……皆さんは知識がいっぱい詰まっているから頭が重いんや。いや、ほんとうに。
情報社会に生きる僕らは、洪水のように流れてくる情報に日々晒されている。
なんでも知ったような気持ちになるけれど、その知識で何をやってるの?と。
何か生み出したのか、何か成し遂げたのか?そう言われたときに、何か答えられるだろうか。
逆にできない理由ばかりを持ち出しては一歩をふみだせない、そんな風に知識が邪魔している人もたくさんいるんじゃないだろうか。
松下幸之助さんの言葉は今の時代だからこそより鋭さを増しているように思う。
熱意
基本は熱意や。単なる知識や小手先で考えたらいかん。二階に上がるためのはしごも、二階に上がろうとする意思がなかったら生まれてこない。どうしても二階に上がりたいという意思があって初めて、はしごというものを考える知恵が生まれてくる。
知識があってもそれをどう使うか。そこには熱意がないと新たなものは生まれない。
こうしたいんだ、と思うこと。
仕事でも、プライベートでも想いを持って何かに取り組んでいると楽しいし時間があっという間に過ぎていく。
熱意がある人の仕事は推進力がすごい。
何か困難にぶつかっても「どうしたら前に進むか」を考える。
だから仕事が進む。
そういう人が何かを成し遂げる。
熱意が持てない仕事なら、仕事を変えるか、自分でやりたいことを見つけるか。
いずれにせよ文句を言っているだけでは環境は変わらないので、行動するしかない。
僕がブログを続けるのは、何かを残し伝えたいから。
せっかく人生を生きて一生懸命仕事して学んだことを残さないのはもったいない。
そういう気持ちがあるから続いている。
アクセス数は、多くの方に読んでいただきたい、という意味で多少追いかけていかないといけない。。。
自ら進んで学ぶ
もっと自分で考えないといかんわけやな。自分で考案するという姿勢をもたなかったら、何にもならん。
考えても答えが出ないものもある。答えの出ないものは、自分の足を運んでいって尋ねるとか、なんぼでも方法はあるわけや。君に志があればな。しかし、志がなかったらあかんわな。…..自分で学んでいかないといかん。これからも教えてもらえると思うとったらたいへんなまちがいや。
これは僕が会社の若手に常々伝えたいこと。
自ら進んで学ぶ。教えてもらえるなんて思ってはいけない。
ブラック企業かと思われるかもしれないけど、そうじゃなくて。気持ちの問題ということ。
なんでも教えてもられることが当然と思っている人は、何歳になっても「教えてもらってないんで、できません」という残念な発言をすることになる。
異動や転職で職場が変わることだってある。
何よりも新しいことに挑戦するときは誰も何も教えてくれない。
いつまでも「教えてもらってないんで」なんて言い続けていたら何も成し遂げられない。
だから若いときから進んで学ぶ意識を持ったほうがいい。
これはすべての学生、社会人のみなさんにお伝えしたい。
人間の機微
そやから会社を経営するうえでも、成功しようと思ったら、従業員も人間やから、人間とはこんなもんやという本質を知る、そこから出発しないといかんわな。
諸君は、大学で人間について研究したか。人情の機微を知ることは非常に大事やけど、いちばんむずかしいことやな。人情の機微を知っていたら、天下でも取れるわ(笑)。しかし、それを知っている人というのは少ないな。自分でいろいろ当たって砕けたりしてやっていくうちに、自然とつかめるものだから
自分で悟ってつかまないとしかたがない。
学ぶべきものではなくて、それは悟るべきものである。
エンジニアのプレーヤーとして仕事をしているときは、正直ここを意識することはなかった。
しっかりと設計し、図面を作成し、設備を観察し、運転すれば自分の仕事の範囲だけみれば問題ない。エンジニアリングの仕事をする上で、あまり人の機微のところでつまづくことはなかった。契約書に基づいて仕事をするのもドライさに拍車をかけている。
でも中堅になったいま、そうではない。
人はただ言われただけじゃ動かない。
人間とはどういう生き物か。どうしたらやる気になるのか。
どうしたら会社の向かう方向に一致団結してやっていけるのか?
学校では教えてくれない。
会社でも教えてくれない。
松下幸之助さんも、それは学ぶものではなく悟るものだと言う。
でもこれが商売で大事なこと。組織で仕事をする上でも大切なこと。
AIやコンピュータで将来数値化できないものと思うので、ここを悟って掴める人は貴重な人材となっていくんだろうと思う。でもこれが本当に難しい。どうしたらいいかわからない。だからこそできる人は貴重。
基本が大事
服装とか、身の回りをきちんとする。何事もこれが基本。
業績とは一見関係がないように思えるけれども、まず人間としての基本的なところ、人間を育てていくということが大切だ。掃除がきちんとできていればまず大丈夫なわけや。
躾が大事という。
会社を築いた人が言うんだから、そうなんだろう。
やってはいけないことをやって(偽装とか、改ざんとか)ニュースになる企業もあるが、みんなが基本さえしっかりしていたらそういう判断を会社としてすることはない。
勉強になります。
まとめ
今日書いたメモはほんの一部分でしかない。他にも学ぶことが盛りだくさんの内容となっている。
僕は社会人3年目くらいでこの本に出会ったけど、「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」は、学生の頃からでも読みたい本。
時代が変わっても人間が変わらないかぎり普遍的な価値を持つ本書は、僕のなかの一生大切な本として今も読み直し続けています。
どんな方にもおススメしたい書籍です。