「僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる (アスキー新書)」は2012年に発売された本ではあるが、最近きっかけがあって購入し、とても興味深くあっという間に読みおえてしまった。
著者は松井博さんという方で、アップルジャパンを経て、アップル米国本社で2002年からiPodの品質保証担当グループマネージャー、そして2004年から5年間はその上位職場のトップ(マッキントッシュ製品の品質保証部門統括)を務めジョナサンアイブ氏などアップルの幹部たちと同じ会議に出ていたという。Appleの中心で仕事を経験されている方。
そんな方が、何がアップルを強くしたのかを分析し語っており、とても説得力がある。
今日は、この本から何を学んだことをまとめたいと思う。
この本から学べること
- アップル社内の仕組み。どのようにしてヒット商品を生み出す組織となったのか
- 職場環境がどのように成果に結びついていくのか、松井さんの実経験と考え方
- アップルのプロジェクト管理方法の一端を垣間見ることができる
- 海外の組織で働くということ。そこで生き残るためのヒント
職場環境を整える
どのように職場の環境を整えるのか、ここが重点的に語られている。
観点はたくさんあって、オフィスのレイアウトやデスクについてだったり、組織の構造についてだったり、整理整頓についてだったり。
しかしそれらは全て成果を出すためのもの。成果を出さなければ会社を去ることになるという環境。そしてそれも職場環境の一つ。
これらをアップルはあるときから変え始め大きく会社が変わった。そしていまやiPhone, iPad, Macなどの美しい製品を世に送り出し続け世界のトップを走っている。この本を読むとApple社がどのように復活を遂げたのか、貴重な事例を知ることができる。
この本でも出てくるシンプルという言葉
僕が自身の殿堂入り書籍と位置づけ定期的に読み返している「Think Simple」にも出てきていたAppleのシンプルさ。これが「僕がアップルで学んだこと」でも度々でてくる。
アップルの組織はとてもシンプルで、会社のトップの指示がすぐに末端まで伝わるとのこと。変化の激しい時代を生きるには、迅速な動きができる組織とする必要がある。あらためてシンプルさの重要性を認識した。
整理整頓の重要性も語られている
職場を常に整理整頓すること。これが実績へつながってくることも語られている。
職場環境を整えることの大切さ。無駄をなくす意識が向上すると、モノだけではなく会議や飲み会なども余計なことはしなくなっていく。
整理整頓が全てではないけれど、職場環境を大きく変えるいいきっかけになるはず。うむ、これは改めて自分の職場でもやってみよう。
海外の組織で働くということ
海外企業で仕事をするというのは、日本のそれとは大きく違う。採用の方法も全然違うし、クビになるリスクも違うし、仕事の進め方も違う。
そんな会社にどうやって就職して、どうやって成果をあげ生き残っていくか、そんなヒントも本書には散りばめられている。海外の企業(日本の海外支店ではなく)で仕事をしたい方はぜひ一度読んでおくとよい。
まとめ
Appleがなぜここまで成長したのか、これを分析し自社に活かしたいと思う人は世界中にいるだろう。僕もさまざまな本を読んできたが、松井博さんの観点からみたアップルはまた新鮮だった。
アップルは職場環境を整えることにはお金をおしまない、という点は勉強になった。やっぱりそうだよなぁ、と。
そこは先行投資なんだと思う。その投資を回収できるかどうかを数字で説明することは難しい。だけど大きな結果につながることをアップルは知っているんだと思う。だからそこへのお金を惜しまない。
逆に日本の企業はそこを惜しみがちなんじゃないかと思っている。
ちなみに僕が務めている会社では、1〜2万円で買えるサブモニターを買うことすら認めてもらえないことがあった。ノートPCだけでは表示領域が狭い。サブモニターに図面を写しながら各種作業をした方が明らかに効率がよくなるのに、理解してもらえなかった。
モニターくらい買ってあげなさいよ、と。
そしてモニターを買う権限すら現場のマネージャーになかったりするのが残念なところ。あの手この手を駆使して結局買ったんだけど、それに思いのほか時間を使うことになった。
生産性を向上するためにどうしたらいいのか、どのように職場環境を整えたらいいのか、僕らは視野を広げ世界の企業から学ばなければならない。
「僕がアップルで学んだこと」は、組織で仕事をしている方におススメです。環境を整えることの重要性が伝わってきます。管理者側の方もプレーヤー側の方も学べることが多い書籍だと思います。