「僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと」和田一郎著
を読んだ。京都大学を卒業し、大手百貨店に18年間勤務した方が記した組織と人間の物語。
時代とともに技術は進歩しているけれど、人間そのものは変わっていない。
会社という組織における人間の仕組み。
それが具体例とともに生々しく語られている。
会社に入って間もない人、中堅世代の人、いやベテランの人にも参考になると思う。
それなりの人数がいる職場が複数ある会社で仕事をする人。そんな人は皆、この本を読みながら自分を著者に重ねるのではないだろうか。
著者の前職は百貨店とのことだが、僕は描写されているシーンが全てリアルに思い浮かぶ。職場が違えど、人が働く組織での日常は似たようなものなのかもしれない。
そして、自分はどうだろうか?、と。
僕は結構こだわる方で、自分はこう思う、という方に行きがち。
柔軟性も重要だけど、海外では柔軟性だけではやっていけないし、主張する力も必要で、どちらかというと言いたいことは言う、という意識を持っている。
果たして日本の組織で働く上でそれは正解なのか。
この本は実体験とともに問いかけてくれる。
とても読みやすくてあっという間に読めてしまう。しかし心にグサリと刺さる部分がたくさんある。
学校ではもちろん教えてくれない。会社でも教えてくれない。調べてもわからない。そんな貴重な経験と考察がよくまとめられている。
企業で働くということ。
現実を学んだ上で自分自身のあり方を考える。それにはとても大きな価値があるように思う。
考え方や生き方は人それぞれなので、著者の考え方に全て同意する必要もない。
自分の考え方と比較して、参考にしながら仕事の仕方や生き方を考えればいい。
組織の中でもがき苦しみながら十数年間やってきたビジネスマンの経験談と反省を1,400円程度で得ることができる。
マジで良著だと思う。
なぜ僕がこの本を読んだのか
僕は気が短い方なのだが、先日イライラが止まらず会社辞めてやるぐらいに思い、深夜に真剣に考えたからだ。
こういうときはさまざまな観点で考え直すに限る。
ネットで色々調べていてこの本にたどり着いた。
深夜の時間帯と通勤時間の1日で読み終えてしまったが、とても参考になった。
おわりに
この本は、著者の経験から導き出される解答も提示されていて参考になる。
現在海外向けアンティーク・リサイクル着物の販売を行う有限会社ICHIROYAを運営しており、そこで学んだフィードバックも加えての振り返りとなっている。これがこの本の深みを増しているように思う。
それが必ず正しいかは組織にもよると思うけど、僕はあるくだりの部分を読んだだけで、この本を買った価値があったと思っている。
自分で経営というものを経験してみるとわかることがある。上司と意見が対立した時の最も適切な対応とは、….そして、中間管理職の仕事とは….
終わりの著者のメッセージも熱い。
組織の中で、今日も苦しみながら生きている幾多の友よ。ずば抜けた才能も持たず、パッションを注げるものもいまだ見つからず、それでも毎日を懸命に会社の中で生きている友よ。そろそろ本を閉じる時間だ。…..
さぁ、ありがたいメッセージをいただいて、どう考えるか。
ここからは自分次第。明日も平日だ。
著者のブログは現在も運営されている。