PE試験を受験し、FE試験のときと違い今回はそれなりに手応えのある状況だった。勉強量と準備は確実に効果があったと思う。
今回僕がどのような準備をしたのかメモしておく。この記事後半の「試験前に必ず読み直し、意識すること」は受験前に自分のために書いたもの。練習問題を解いて気になった点についてメモし、試験前に読んで臨んだ。不合格だったらお蔵入りになるところだったけど、無事Passすることができたので、今回記事として投稿するものです。
なお、受験した試験はCBT(Computer Based Testing)。紙ではなくコンピュータに回答を入力していく形式。
ここまでやらなくても合格できる人もいるだろうけれど、受かる確率を上げたいなら参考になるかなと思う。なお、受験したのはMechanicalのThermal and Fluid systemsです。
使ったテキストについてはこちらの記事を参照ください:PE試験の勉強に使った参考書とかかった費用【Professional Engineer】
受験した人
機械工学専攻。社会人になってからプラントの機械エンジニア(プロセスまで見る)として十数年現場を経験。
勉強スケジュール
4月末頃の試験を目指し、2月に勉強スタート。3月上旬までにテキスト(Thermal and Fluids Study Guide – Engineering Pro Guides)一周目を完了。テキスト内に適宜出てくる問題は計算機を使って答えを見ずに解いた。
その後NCEES公式問題集を解く。確かこのタイミングでの正答率は6-7割くらい。
その後COVID-19の影響で試験延期。悶々とした日々を過ごす。
10月の試験となったため、6,7,8月でゆっくりテキスト読み直し。8月はテキストの問題集解き直しで、あくまでReference handbookを使って答えを見ずに解くようにした。問題を見て解法がすぐに見通せるようになることが大切。
9月に入ったら二つの問題集を解いて(正答率は8割弱)、間違った問題文をマークし、そこを試験前日まで詰める、ということを行った。
試験前に読み直し、意識すること
練習問題を解くなかで僕が無くせなかったミスを列挙しておく。僕の集中力が足りないだけとは思いつつ、皆さん同じミスをしないようご注意を。
当日はこれを意識しながら試験に臨んだ。
問題文をよく読むこと
何を求められているのか、よく理解すること。問題文にはダミーの情報が入っていたりする。それを誤って使うと導き出される答えが選択肢に入っていたりするもの。
問題をよく読んで、正しい答えを導き出そう。
単位を確実に掴む。理解する
練習しすぎる弊害で、パターン化された問題を見ると、問題文をよく読まずに計算に入ってしまうことがあった。
例えばEconomicsのところ。運転中のcostが/monthと/yearの時があって、/yearの方が多い。/Yearだと思いこんで計算したが、実は問題は/monthで12を掛けるのが抜けてた、なんてこともある。
注意すべし。
また、回答で求める値の単位も必ず意識すること。
問題文はHP(horse Power)とkWが問題文に混在するケースがある。実際の現場でも読み値の単位と計算式に入力する単位が違うなんてことはあるので、単位の重要性を試験で示しているんだと思う。きっと。
絶対圧力と絶対温度
圧力単位としてpsiaとpsigと使い分けられている。温度はFとR。ここをよく理解して問題を解く必要がある。仕事で使うときは当たり前のように使い分けているけれど、いざ試験になると焦っているので注意。
計算式に入力が必要な数字を入れ忘れないこと
例えば圧力損失の計算があるとする。式はReference Handbookに載っている。値を計算機に入力するときに、計算式に全ての数字を正しく入れる必要がある。
僕は、式に含まれている数字の”2”を入れ忘れたりしていた。しょうもないミスだが同じようなミスを1度や2度ではなくしていた。練習問題でこれなので、当日はもっと多いだろうと考え、注意するように気をつけた。
ポンプの消費電力を求めるときにポンプ効率等の考慮も忘れないこと。基本中の基本だが焦ると抜ける。そして選択肢には効率を考慮しないケースの値もだいたい用意されているので、間違いに気づきにくい。
計算で出たドンピシャの選択肢はあると計算が合っていると早とちりしてついつい選んでしまう。(逆に選択肢に無い方が間違いがないか見直すきっかけになる。)
PE試験、 Thermal and Fluid systemsでよく使う数字
頻繁に使う値については、いちいちReference Handbookを検索して数字を探す時間はもったいない。最低限以下は記憶しておく。なお、問題集を何度も解いている勝手に記憶してくるとも思う。それだけよく使うということ。
AirのCp 0.24 [BTU/lb-R]
K=1.4
(K-1)/k =0.2857
コンプレッサのisentropic変化の計算で使用。問題文に条件として違う値が記載されているときもあるので、その場合はそっちを使う。
GPM(gallon per min)という単位がよく出てくる。これをftに換算する。
1 gallon≒0.134ft^3
水圧Water height 2.308 [ft-water] ≒ 1 [psi]
大気圧 14.7 [psia] ≒33.9 [ft]
ポンプの計算でよく使う。
12 [inch] = 1 [ft]
基本だが重要。inchとfeetの換算は本当に多用する。
Reference Handbookから素早く必要な項へ
試験中、Reference Handbookを参照することが多い。ワンワードで欲しい情報にたどり着くようにしておいた。(これが必ずしも最適とは限らない。あくまで参考例として。)
よく使うのはSteam Table。“Saturated”で検索結果の6つ目くらいにSteam Tableにたどり着く。
Psychorometric Chart:
“Psy”と入力すれば6つ目くらいにPsychrometric Chartにたどり着く。空調関連の問題に必須。
圧損計算の式:
“Loss”で、6つ目くらいに圧損計算の式(The Darcy-Weisback Equationのページ)にたどり着く
配管の仕様の表:
“Schedule”で2つ目くらいにPipe and Tube dataにたどりつき、例えばSchedule 40のSteel Pipeの口径毎の各種データを確認できる。
ポンプ関連の公式:
“Pump”というワードはあまり出てこないので”Pump”で検索してもすぐに動力計算式やAffinity Lawにたどり着ける。
これらは一例だが、頻繁にアクセスするページにどうやって検索してたどり着くか、試しておくと良いと思う。
受験してみての感想
実際に受験してみての感想を残しておきたいと思う。
お伝えしたい重要なポイント
まずお伝えしたいのは、テキストを読んで「分かった気になっている」程度の状況では合格レベルにはならないということ。
しっかり問題集をReference Handbookを使いながら解いて、解法と計算のポイントに精通しておく必要がある。
間違いにやすいところは実際に間違えないと学ばない。繰り返すが、「問題集を試験と同じように自分で答えを見ずに解くこと。そして答え合わせをして解き方を理解すること」これが重要。
受験してみての感想
練習問題は2種類解いていたが、全然違う毛色の問題があったりして初めて解くような種類の問題もそれなりにあった。応用を問われる試験なのでそういうものだと思う。
文章を読んで、Reference Handbookにヒントがあるかを探して、というのを繰り返し。
全然解き方がわからん、というケースは少なかったが、そういう問題には時間を取られた。一方、頻出問題は練習の成果が出て、スムースに解けた。
今回はテキストと練習問題を2周したかいもあり、時間内に80問全て解くことができた。
しかし、8時間集中して80問をひたすら解くというのはやはり大変。タフさが要求される。前日はしっかり寝て、体調を万全にして当日を迎えるべし。
その他
お昼は50minのbreak timeがあるが、部屋を出るとき入るときにチェックが入るので実質は45minくらい。お昼を食べるなら外に出ることになるが、あまり時間に余裕がないと思っておいた方がいい。
おわりに
FE試験でCBTを経験していたので、PE試験のCBTも特段困ることはなかった。
むしろ参照できるものがReference Handbookのみであり、勉強する範囲に変に迷うことがなくて僕はありがたかった。
試験は水物。絶対に受かるなんて保証はない。だからこそ、可能な限り準備をして受かる可能性を高められればと思う。この記事が少しでも参考になれば幸いです。
PE試験に受かった次のステップ
- Credentials Evaluationを完了するまでの手順【米国PEへの道】(2021.6.29)