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オシムの言葉 木村元彦

『オシムの言葉』。偉大なる指導者から学ぶ。

2026-01-12Book

イビチャ・オシム(1941-2022)。ボスニア・ヘルツェゴビナのサッカー選手・指導者。

86年から旧ユーゴスラビア代表監督を務め成果を残していたが、祖国の分裂に伴い1992年に辞任。

2003年からジェフ千葉の監督に就任、2006年から日本代表監督に就任するも2007年11月に脳梗塞で入院。当時もサッカーをよくみていたので僕もよく覚えている。しかし、偉大な人物であることは知っていたが、オシムさんのことを深くは理解していなかった。

『オシムの言葉』著者:木村元彦、はオシムさんに関わった人たちの取材も通じて本書を書かれた本。

多くの方々から語られるオシムさんの言動、それを受け取った側の考え、発見、成長。

指導者として何を考え、どうしていたのか。この本を読みながらマーカーだらけになった。あとで何度でも読み返したい。

読んでよかった、と思える本ランキングを作るなら、近年でトップ。なぜ今になって読もうと思ったのか覚えていないが、もっと早く読んでおけばよかった。できれば指導の立場をとる前に読んでおけば…

偉大なる指導者から学ぶことは多い。ぜひ多くの方におすすめしたい一冊となった。

読後のメモ

オシムさんは代表監督と、クラブの監督の掛け持ちしていた。そしてユーゴスラビア代表の監督として悩まされる民族の問題。戦争。内戦。

ユーゴスラビアを構成していた国。クロアチア、モンテネグロ、セルビア、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア。

ユーゴ代表と言っても、一枚岩になることは難しかったに違いない。それでもチームを同じ方向に導き、当時のオシム監督は結果を残していた。

ボバン、シューケルという名前は、クロアチアが1998年W杯で日本と同じグループにいたことから知っている人も多いと思う。

本書でもこの二人の名前は出てくる。ユーゴ代表選手として。そうか、クロアチア代表になるまでの歴史があったのかと。

1998年、W杯を観ていた時、彼らが潜り抜けてきた境遇を僕は知らなかった。。

Jリーグに大きなインパクトを与えたレジェンド、ストイコビッチ(ピクシー)の名前ももちろん出てくる。むしろ何度も登場する。

日本でも名の知られた有名な選手たちだが、背景で起きていたことを僕は何も知らなかった。昔、社会の先生がサッカーが好きで、地理・歴史を理解することの重要性を説いていた記憶があるが、今、強く実感する。

戦争の最中、それらをまとめあげた、オシム監督。くぐってきた修羅場、困難さが尋常ではなかった。

91年のクロアチアとスロベニアの独立宣言。92年、重要なリーグ戦の試合中、祖国のボスニアで始まった戦争。

戦時下で注目される、オシム監督からのコメント、それが批判の的となること。オシムさん特有の、オブラートに包み、謎解きのような喩え話をするバックグラウンド。

サラエボ包囲網。

家族との再会。

平和がいかに大事かを感じさせられるエピソードが続く。皆が読むべき本だと思う。世界中の人たちが。

その後、国を変え、オーストリアのグラーツで素晴らしい結果を叩き出す。

なぜ日本のジェフに来たのか。ビッグクラブからのオファーも蹴って。

本書では、羽生、佐藤勇人、巻、阿部勇樹、水野、といった名前も登場する。阿部勇樹さんはオシムさんから若くしてキャプテンを任されたプレーヤー。そのエピソードも語られる。

オシムさんの人生を最後まで追いかけながら、ページをめくる手が止まらず、あっという間に読了した。

おわりに

サッカーから学ぶことは多い。

プレーやシステムだけがサッカーではない。文化、街、国、プレーヤー・コーチ・クラブとしての組織論、教育・指導・哲学・モチベーション、etc..

この本からそれらを学べただけでなく、心を動かされる箇所が本当に多かった。

旧ユーゴスラビア周りの地理と歴史、戦争。

オシムさんのサッカーに対する姿勢。

プレーヤーとの接し方。

本書で繰り返し語られる本質。

厳しい監督でも、なぜ多くの選手たちから慕われたのか。世界中から敬意を表される人になったのか。

本書の最後に述べられる「指導者が残す最も大きなもの、それは….」から始まる文章には涙が出た。

最後の章に阿部勇樹さんの名前も出てくる。

一年前に読んだ阿部勇樹さんの本「僕はつなぐ」。オシムさんの本を読んで、よりその言葉の重さを実感できた。阿部勇樹さんの本ももう一度読み直し、再び涙が出てきた。日本サッカーの未来が楽しみである。

そして、最後に書かれていた日本サッカーのサポーターへのメッセージ。これもサッカーを観る人に響くものであった。

サポーターに対しても、オシムさんは指導者だった。

イビツァ・オシム。若い人は知らないかもしれないし、サッカーを見ない人は知らないと思うが、こんなにも素晴らしい人間がいたこと、旧ユーゴスラビアで起きたこと、世界中から尊敬を集める素晴らしい指導者はどのように振る舞っていたのか、etc.、と学ぶことが本当にたくさんあるので、ぜひこの一冊は読んでみてほしい。

この本を読んだ後に、阿部勇樹さんの『僕はつなぐ』を読めば、物語が続いていることを知れる点も、付け加えておく。

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