生徒が書く小説の中の小説。
檀先生視点で進む物語。
最初は二つの話が並行して進む。
しかしそこはさすが伊坂さんの小説、読み進めるとともに、つながってくる。
そして最後は….
伊坂幸太郎さんの『ペッパーズ・ゴースト』を読んだ。
今回の記事ではその感想を簡単にまとめておきたい。内容を一切知りたく無い、という方は先を読むのを控えていただければ。
読後の感想
伊坂さんらしい小説といえばそうなのだが、他作品と比べるとそこまでの疾走感や爽快感を僕は感じなかった。
最初に読む伊坂さんの小説としてはおすすめしない。かな。
もちろんテンポの良い会話、示唆に富むメッセージ、非現実を現実の世界に落とし込む上手さ、伏線回収などは楽しめる。ネコジゴハンターのロシアンブルとアメショーのやり取りはとても面白い。
でも、伊坂さんはこの小説にもっと深いメッセージ的なものを含ませたかったのかなぁ、などと読みながら思った。
ニーチェだったり、永遠回帰だったり、難しい概念が出てきたりもする。少しとっつきにくい部分もある。
本質的には、無力感や、生きる意味とは、といったメッセージ性を感じた。どうせ自分がここで頑張っても…といった気持ちになることは世の中生きていれば多々ある。個人で何かできることは限られている。でも何かできることはないかと考えながら生きる人はどうやって肯定感を持てばいいのか。
難しいテーマだなと。。
個人的には、沈みゆく日本をどうしたら良いのか、と日々考えるが、自分一人ではどうにもならないと思って、どうやって日本を抜け出すかの方を考えている。それって正しいんでしたっけ、なんて考え始めたら何もできない。
日本はどうしたら良くなるかを考え多くの活動に注力し、日本の発展に尽力した渋沢栄一氏の本を読んだばかりだから尚更こう思うのかもしれない。
何年か経ってからもう一度読んだらまた違った感想になるだろうか。考えさせられる小説だと思った。興味のある方はぜひ読んでみていただければ。