久々に哲学の本を読んだ。
哲学の本には2通りあると思っているのだが、一つは哲学の歴史や内容を解説する本。もう一つは哲学する本(なにかしらのテーマについて考える)。
本書は後者、写真を哲学する本。
そう思った。
途中でデカルトの紹介があったり。主観と客観の一致問題も最後の方で語られる。ただ、哲学の歴史や詳細を語る本ではない、「写真とは何か」が考え抜かれ、語られる。
タイトルは『写真で何かを伝えたいすべての人たちへ』。著者別所隆弘さんは滋賀県出身で、フォトグラファー、文学研究者。
本書は、ページをめくりながら、写真と文章それぞれを見て・読んで・考えていく本だと思う。
カメラと写真。窓。切り取るが、それが事実なのか。「写真」ということば。真実を写すと書く日本語はPhotographyを直訳していない。
真実はゆがみ、事実は揺らぐ。それこそが写真のスタート。
写真、認知、ことば。
SNSと表現のコモディティ化。
リアルとリアリティ。
AIの作る画像。Midjourney。
後半に出てくる飛行機の長秒露光写真。
飛行機写真と現代のSNSとコモディティ化。
SNSが普及し写真がコモディティ化したこの時代、写真の希望はどこにあるのか。
著者の見出した最後の希望とは。
うまく文章が書けないので、今回はメモの箇条書き。もう一度読み直したい。
おわりに
そのうちAIが素晴らしい写真をいくらでも生成するだろう(すでに、か)。
自分のみた世界を切り取る。その写真は自分だけが語ることができる。自分にしか撮れない写真を撮ったら良いのでは、というのが今回の発見。あらためて。いい写真を撮るために必要なスキル、必要な機材は日々勉強していけばいい。
本書の「おわりに」は読みながら涙した。僕は今、日々、家族・子どもたちと賑やかな日々を過ごし、それを写真に収めている。今、僕にとって、写真はそれがほぼ全て。そのうちまた違う目的で撮る日が来るだろうか。そのときに「写真」がどうなっているのか、興味を持って世の中を観察していきたいと思う。
いいタイミングで、いい本に出会えた気がする。感謝。