人生は4000週間しかない。
そこからスタートする本書は、「時間」という掴みどころのないものとどう付き合っていくべきかを様々な切り口で観察し解説してくれる一冊。
時間をどう有効的に使うか?の解説書は読んできたが、時間とどう付き合うか、に注力した本を手に取ったのは初めてかもしれない。エッセンスはこれまで読んだ本にもところどころ書いてあったけれど。
いくら時短テクニックを身につけても、いくら便利な道具を手に入れても、あれもこれも全てやりたいと思ったらいくら時間があっても足りない。それでは一生「時間がない」と言い続けて過ごすことになる。
世の中は便利になりすぎて我慢する力も落ちている。
「郵送で3日待つのは我慢できても、重いウェブサイトで10秒待たされるのは我慢できない。」とは実にグサっと刺さる表現だ。
ではそんな生活を変えるにはどうしたら良いのか、示唆に富む内容が本書では多数紹介される。
答えはなくて、全ては自分次第だけれど。
僕が最も大事だなと思ったのはこういうポイント。
生きていること自体が大変恵まれていることであり、ちょっとしたきっかけてこの世を去る日が来るかもしれない。そうなったら、夜泣きする子をあやすことも、渋滞に巻き込まれることもできない。今この時間を過ごす自分がいること、ここに感謝すらすべきである、と。
もちろん渋滞に巻き込まれたくはないけれど。
その他、いくつか読んでいて新鮮だったことをメモしておきたい。
休日に対する考え方も新鮮だった。「休みをしっかりとってリフレッシュして、また仕事に取り組みましょう」とはよく聞く言葉。しかし、仕事のためにリフレッシュするという視点がおかしい、と。仕事のための休みじゃない。休みにどう過ごすか、それこそが人生の重要な部分なはずなのだから。
仕事で疲れ切った体を回復するのに土曜日を使ってしまっている僕の場合は。。。
人が気が散るのは生物的には正しいと言及されている。確かに、外敵が近づいてきたら気づかなければ生きていけない。今のSNSやニュースは僕らの気を引くことに対しては過剰なほどであると。これらとどう距離を置くか。なんならアルゴリズムで僕らを不快にさせてくることすら実施していると思われる。
本を読めなくなったのは忙しいからじゃなくて、気を紛らわす何かが増えたからな気がする。だからそういうものから距離を置くことが重要になる。
そして最後に本書を読んでよかったと思う一文。
心理療法家ジェイムズ・ホリスは、人生の重要な決断をするとき、「この選択は自分を小さくするか、それとも大きくするか?」と問うことを勧める。そのように問えば、不安を回避したいという欲求に流されて決断するかわりに、もっと深いところにある目的に触れることができるからだ。
生きていれば悩むことは多い。そのときに決断の指針になるものがあると強い。この指針は心に刻みたい。仕事を辞めるかどうか悩んでいるときも、この指針は大きな助けになると本書は触れている。
過去は変えられない。未来がどうなるかはわからない。未来を変えようとするのではなく、今をどう生きるか、そこに注力したい。今自分がここにいることに感謝しながら。
さあ、腕まくりをして、自分にできることに取りかかろう。
『限りある時間の使い方』
定期的に読み直したい、素晴らしい一冊リストに加えたいと思う。