今まで日本の歴史を短期間で全て追いかけたことはなかった。歴史を追いかけるということがこんなに面白いとは….
百田尚樹さんによって語られる日本史。なかなかの反響があったということ、オススメされていたことから僕も手にとってみることにした。
読後の感想から言うと、とても面白かった。
まず歴史を追うということのロマンを教わった。歴史を学ぶ理由は「同じことを繰り返さないため」だと思っていたが、大昔を想像し考えることの楽しさもこの本から学んだ。
歴史の教科書で「何年に何があった」とかをただ覚えることは本質ではない。でも学校の試験がそういったものばかりを問うと、そういう勉強ばかりになってしまう。だから僕は学生時代の歴史の勉強が嫌いだった。
この本を読むと歴史を追いかける楽しさを学べるのではないかと思う。ただ、文献情報がなかったり、事実かどうかは置いておいて著者の理解や考え方が述べられたりするので、そこはそういう理解で読んだ方がいい(むしろそこが面白いところだと今回知った)。
日本国紀をオススメできる理由
- 縄文時代から平成まで日本の歴史を一気に追いかけられる
- ただ歴史の史実を書くのではなく、著者の考え方や推測、解釈が入るので、歴史を考える楽しさを知れる
- 目を背けたくなるような戦争に関わる情報も多く語られていて、今の日本はどうしたらいいか、考えさせられる
- 日本という国の素晴らしいところを改めて認識できる
残された史料からどう分析しどう歴史を紐解き想像するか。ここに歴史のロマンがあるなぁ、と改めて思った。日本国紀を読んだ後に日本史の教科書を開くと、また興味を持って勉強できるんじゃないかなと思う。
本書からもらったさまざまな気づき
歴史のロマン
縄文時代、弥生時代、飛鳥時代を通じて、残されている限られた手がかりから推測する楽しさを感じられる。
現代はDNAの分析も進んでいて、昔よりも分かっていることが増えてきている。今後歴史の解釈が覆されるときが訪れるかもしれないが、それはそれで楽しみ。
日本という国名
太陽が昇る国「日本」。その国名を大切に1300年使い続けてきている。素晴らしい国名なんだという考え方は今まで持ったことがなかった。
これも発見。この本を読まなければ深く考えることはなかったと思う。
天皇に関する知識
天皇を中心に史実をふりかえっていくのだが、そこに物語があってとても興味深く読めた。そもそも天皇という名称が使われたのはいつからか?そんなことを考えたこともなかった。
日本人としてもっと学ばなきゃいけない、そう思った。
「禅」の生まれた時期
鎌倉時代に生まれたという「禅」の考え方。禅の厳しい修行が鎌倉時代の武士に受け入れられて全国に広まったらしい。
室町文化のところで、「わび・さび」の美意識が語られていた。枯山水のような庭園もこの時期に生まれたとのこと。
今まで禅の考え方に影響されたり、簡素でシンプルなものに美しさを感じていたりしたけれど、これらがいつ生まれたのか、歴史を知ろうとしたことはなかった。歴史の教科書にはきっと書いてあるんだけど、この本を読んであらためて理解。古都を訪れるとき、歴史を想像しながらの楽しみ方が少し深くなったかと思う。
明治維新のすごさ
明治維新だけで1冊の本が書けるほど、この時代は密な時間が流れていた。何がすごかったのか、なぜ海外で日本の明治維新の成功が研究されるのか、よくわかった。
他にも多くの気づきをこの本から得た。なかなか充実した読書タイムになった。
おわりに
表紙カバーに記載される「私たちは何者なのか-。」。少し大げさかなと思ったけど、読後は、日本人であることを考えるようになったという意味ですごく勉強になった。
また、この本を通して考えさせられたのは、何が事実かはよく考えないといけない、ということ。
今の教科書に書かれていることが事実なのかという問題。
一方でこの本のに書かれていることが事実かと言われればまた意見があるはず。
けれども、そういった目でよく情報を読み、考え、理解していかないと本当の国際人にはなれないのかなと思う。
海外の人から「なんで日本て….なの?」と聞かれたときに、深い歴史の理解から答えられる教養は持っておきたい。
憲法改正も一方的な報道が多い気がする。
この本では著者の意見を歴史を紐解きながら伝えている。
どちらが正しいと考えるのか、正しいと言える答えはあるのか、それは読み手(僕ら)がよく調べ、考え、日々のニュースを理解しないといけない。多くの意見があって、それを議論して、その上で判断していかないといけないなと感じる。
今も新聞やウェブサイトは多くの情報を伝える。
フェイクニュースの問題もある。何が真実なのか、僕らは正しい判断ができるのか?
そんなことまで考えるに至った「日本国紀」。
矛盾があるとか間違ってるところがあるとか、いろいろ指摘はあるかもしれないけど、日本通史をここまで面白く読ませていただいたことに僕は感謝をしたい。
また、独自の誇れる歴史ある日本に生まれたことの素晴らしさをあらためて実感。歴史が浅い国も世界にはたくさんある中、日本は縄文時代から受け継がれてきた歴史がある。僕らは恵まれていることに気付こう。そう思いました。以上。