モリーがミッチに語った言葉の数々。
死を前にして伝えたいことを話してくれる。それを僕らは聞くことができる、この本を通して。
モリー教授はミッチ(新聞コラムニスト)の恩師。難病に侵され死が近づくことを認識しながら、自分を訪れたかつての生徒ミッチへ人生の意味を語る。
毎週火曜日。
テーマは「人生の意味」
全14回。
原題は「Tuesdays with Morrie」
今回はこの本を読んで特に心に残ったこと、考えたことをまとめたい。
現代の文化と本当にやりたいこと
モリー教授はこういう。
「われわれの文化は人びとに満ち足りた気持ちを与えない。文化がろくな役に立たないなら、そんなものいらないと言えるだけの強さを持たないといけない」
ここでいう文化とは何か?
物質社会、資本主義、効率化が良いとされ、お金は多く持っていた方がいいとされる。
これらで僕らは満ち足りた気持ちになっているか?
答えはノーなんじゃないか。
「今の文化状況じゃ、死ぬ間際のならないとこういったことまで気が回らないね。みんな自分本位のことでがんじがらめだから。仕事のこと、家族のこと、かねは足りるか、借金は払えるか、新車を買うとか、暖房が故障したら直すとかー ただ暮らしを続けるために数多くのことにかかわっていかなきゃならない。これでは、ちょっと立ちどまって反省する習慣がつかないよ。これだけなのか?自分がやりたいことはこれだけか?何か抜けているんじゃないか?と時には考えないと」
忙しすぎる毎日。
なのにTwitterやあまり関係のないニュースまで見てしまう。
新しい製品が発表されればそのニュースに踊らされる。
大切なことに時間を使っているのか?
自分は何をしたいのか?
そもそも、自分は何をしたいのか考える時間をとっているか?
モリー教授の言葉は心にささる。
心を静かにして考える時間をとるかが大事なのかな、と思う。
今は子供が小さいので、子供と一緒にいる時間を大切にしたいなと改めて思ったし、あんまり仕事で悩みすぎるのもどうなのかな、とも考えた。
まだまだ整理が必要だけど、そういったことを考えるきっかけをモリー教授は与えてくれる。
いずれ死ぬ
死の近づきを感じて暮らしていたモリー教授のことば。
「いかに死ぬかを学べば、いかに生きるかも学べる」
…
「いずれ死ぬことを認めて、いつ死んでもいいように準備すること。」
…
「今日がその日か?用意はいいか?するべきことをすべてやっているか?なりたいと思う人間になっているか?」
これはSteve JobsさんがStanford大学での講演で話していたことと似ている。
死を間際に感じた人たちが想うことなんだと思う。
こういった人たちがメッセージを語りかけてくれるのに、僕らはいつもどこか死を遠くに置いている。
事故や災害のニュースも頻繁に飛び込んでくるし、ドラマや小説を通じて死という言葉は耳に入ってくる。
けれども普通の日常を過ごしていると「明日死ぬかも」という感覚はない。
なんなんだろう、これは。
あまり思いつめ過ぎても疲れてしまうから、人間の脳にはそういったことを忘れるようなプログラムがされているのかな。
なりたいと思う人間になっているか?
これはとても深い問いかけ。
そもそもなりたい人間が僕の中で明確になっていない。
理系に進み、大学を出て、会社に就職しエンジニアとして仕事をしてきた。
やりたいことを見つけては手を出し色々と経験してきた。僕のブログのカテゴリーが15個もあるのはその表れ。しかも趣味や時間をかけていることはこれらだけじゃない。
ブログを始めたきっかけは、自分の経験をアウトプットして人の役に立てればと思ったことから。
エンジニアとしてモノに残るような仕事を一生懸命やってきたし、今後もそれを続けたいと思っている。そこで得られた経験もお伝えしていきたいと思っている。
2年半海外で仕事をしたのも貴重な経験だったし、それもお伝えしていきたい。
これまではがむしゃらに生きているって感じで、イメージはMr.ChildrenのI’ll beの歌詞。
生きてる証を 時代に打ち付けろ
貧弱な魂で 悪あがきしながら
何度へましたっていいさ 起死回生で毎日がレボリューション
I’ll be Mr.Children
こんな感じで三十数年間突っ走ってきたけど、そろそろ一度立ち止まって考えるときなのかもしれない。
自分がなりたい人間とは?
そして、
なりたいと思う人間になっているか?
すごく考えさせられる本だった。
現代を忙しく生きる人にこそぜひ、一度読んでみることをおすすめしたい。