「専業主婦は2億円損をする」著者:橘玲を読んだ。
橘さんの著作については、ビジネス系の書籍から小説まで新書が出ればチェックしている。非常に読みやすくて勉強になるし、小説はスピード感や緊迫感があって素晴らしい。
読み手によって好き嫌いがあるかも知れないが、気に入る人はハマってしまうだろう。
さて、この本はタイトルがまず強烈。
インパクトを残すためにこのようなタイトルにしたのか、それとも他に意図があってこのようになったのか。は僕にはわからない。
2億円損をする、と言われれば多くの人が興味を持つだろう。
行動経済学や心理学的には、人間は得をする時よりも損をすると思った時の方が強い印象を受け行動に移す、と聞いたことがある。
意識してこのタイトルをつけたのかも?
読後の感想、考えさせられたこと
女性と仕事をテーマにさまざま点から日本社会の現在の課題を捉えていて、とても面白く読めた。
とにかく日本という国で、女性は結婚して子供ができたら働きにくい状況になってしまう。
他の国に比べて、専業主婦になって仕事をやめてしまう人も多いとのこと。
仕事を続けていれば、生涯年収が2億円になるかもしれないのに、専業主婦になって仕事をやめてそれを放棄してしまうのは・・・という話である。しかし働きたくても働けない事情が日本にはあって、問題が多いよね、と。
この本を読んで、「なぜ日本の多くの企業は子供を持つ女性にとって働きにくいのか」について考えさせられた。
なぜ日本の多くの企業は子供を持つ女性にとって働きにくいのか
古い企業ほど、若い頃から長時間労働を耐えて頑張ってトップに登りつめた人が多いと思う。
僕はまだ30台中盤だけど、入社して10年程かなりの時間を仕事に費やしてきた方だ。まだまだそういう仕事をしている人も多いんじゃないかな。時代は変わりつつあるけど。
エンジニアとしては知識と経験を積むことができる環境にあれば、長時間やった分だけスキルが上がる可能性が高い。だから僕はあまりネガティブじゃなかったし、当時の経験が今の僕を支えているのも事実。
長時間労働もエンジニアの成長のために必ずしも悪くない、と思う人がいてもおかしくない。(これからの時代は違うと思うし、許されない社会に向かっていくだろう)
限られた時間でなんとかする文化というよりも、長時間働いてでも成果を出す文化。体力・気力・根気のある人が有利な社会なのかなと思う。未だに。
時代は変わりつつあるものの、未だ長時間労働の文化は残り、ときどき過労死のニュースが報道を賑わす。
そんな社会では結婚して子供を産んだ女性は不利だ。旦那さんが遅くまで働いていたら自分が子供をみなければいけない。自分が遅くまで働くことになったら、旦那さんが子供をみなければいけない。
遅くまで長時間働くことがベースの国にいては、夫婦ともに仕事で勝負する世界に身を置きにくい。なぜなら長い時間働ける立場にいる人の方が有利だから。それは明らかだ。
今の日本では、旦那さんの方が遅くまで残るケースが多いのであろう。だから子供を産んだ女性は勝負しにくい。それって平等じゃないし、働くモチベーションを奪うこともになる。
日本の労働時間が適切なレベルになるのはいつ?
日本の労働時間の統計データも調べればあるのだけど、はたしてその数値って正しいの?という疑問も残る。だって、いわゆるブラック企業は残業代も払わないわけで、労働時間もうまいことごまかしていると思うから。
本当のホワイト企業で仕事をしている人を除いて、働いた時間全てを労働時間として申請(残業代支給)とまでは徹底されていないのではないか。
そうなると、実際の労働時間は記録に残っていないと思われる。
海外での経験上、普通?の国の方々はそもそも定時で帰ってしまうので、あまり上記の心配がない。(もちろん長時間働くことをいとわない国もある。)
日本と世界の労働時間の統計だけで比較することは危ういんじゃないかな。
日本が「本当の意味」で長時間労働社会から脱し、世界の(適切な労働時間で成果を出している)企業と同じレベルに至るにはまだ時間がかかるのでは。と思っている。
おわりに。僕らはなにができるのか
一個人に何ができるのだろうか。
企業によっては経営に余裕がなくて、従業員のサービス残業がなくなったら破綻するケースもあるだろう。
近年企業によるデータ改ざんや不祥事がニュースになっているが、そうしないとやっていけない状況だからだという意見もあった。
まともに世界で勝負したら、人件費の高い日本企業は不利。
だから高い人件費でも勝負できるビジネスをしないといけない。
一人でなんとかできる話じゃないかも知れない。
けど、僕ら日本人一人ひとりがスキルを上げ、経験値を積み、アイデアを出し、形にして素晴らしいサービスや製品を届ける。チーム日本の力を底上げしていく必要があるんじゃないか、と。
会社が上手くいかないのは経営者の実力がないからだ!と叫ぶだけじゃ面白くないじゃないですか。
皆が活躍できる社会。先は長くても、挑み続けないと。
将来の子供のためにも。
今日のひとりごとおわり。色々考えさせられた本でした。