「いま世界の哲学者が考えていること」岡本裕一郎、を読み終えた。今回の記事は、読み終えての感想と一つのテーマとして触れられていた”格差”について考えたことをまとめたい。
哲学について
哲学と聞くと、何やら難しいものと捉えられがち。
世界は何でできているのか、我々は何者なのか、人はどう生きるべきか、etc..人類が向き合ってきた課題は奥が深い。
考えることというのは過去から未来にかけてずっと必要で、時代とともに哲学のテーマは変われど、哲学は今後も必要じゃないかと思う。こんな時代だからこそ我々はどう生きるのか?考え続けないといけない。
ちなみに、哲学というと「昔の哲学者がどのような考え方を唱えた」を語ることもあるが、僕は「哲学すること」を重視したい。
いま何を考え、どう行動するか、が重要だと考えるからだ。(もちろん昔の偉大な方々の考え方は学ぶ価値があるが。。ちなみに僕はカントさんに憧れる。)
「いま世界の哲学者が考えていること」は現代において哲学がどのような問題を取り扱っているのか、をテーマにした本である。
読み終えての感想
まず、文体は哲学チックな雰囲気もあって僕にはとっつきにくかった。読みにくさを感じたのは僕が未熟だからか。。海外の哲学者の文章を引用する箇所が多々出てくるのだが、日本語訳したものってなんであんなにわかりにくいのだろう。
一方、この本が取り扱っているテーマそのものは面白かった。
- IT革命は人類に何をもたらすのか
- バイオテクノロジーは「人間」をどこに導くのか
- 再生医療によって永遠の命は手に入るのか
- 犯罪者となる可能性の高い人間はあらかじめ隔離すべきか
- 資本主義は21世紀でも通用するのか
- etc.
様々なテーマがある中で僕の中で気になった項目は、資本主義において格差は悪なのか、について。
格差は悪なのか
格差が悪と決めつけるなら、極端な話、社会主義や共産主義でいいではないか、という話になってしまう。
しかしそれは違う。
頑張った人は頑張ったなりに報われる仕組みが必要。じゃないと誰も頑張らなくなってしまう。
この本では、格差そのものは本質的な問題ではないとの論点をとる。皆が十分に生活できる最低限のお金を持つような仕組みが必要であり、問題の本質はは格差じゃなく貧困の救済なんじゃないか、と。
僕なりの考え方と立場:賛成な部分
“十分”の定義は?という問いはきっと永遠のテーマだが、基本的な考えはその通りかと思う。
貧困の撲滅、セーフティネットの充実。ここの詳細を詰めることに力を入れ、救われるべき人たちが救われる社会を。
一方、才能と時代に恵まれ、努力しチャンスを掴んだ人は適切に報酬が適切に与えられるべき。その代わりある程度の税金を納めていただき、みんなが十分に暮らせる社会を作る。
これが本来あるべき姿では?と思う。
この観点に立つと、お金持ちが節税で税金の安い国に資産を移すのは倫理的にNGとなる。例えそれが合法であったとしても。
マイケルジョーダンはものすごい稼ぎがあったかと思うけど、カゴにボールを入れたらすごい、というルールがない時代だったらきっとここまで稼ぐことはできなかっただろう。
人それぞれ強み弱みを持っている。強みを発揮できる場所を見つけることができれば輝ける。チャンスを掴んだ人はその人の努力の部分もあるが、環境に依存する要因もあって運の要素もゼロではない。
沢山の報酬を得るにあたっては、多少運の部分もあるのだから、ある程度は税金として収めて必要な方々に還元しましょうよ、という考えが 僕は気に入っている。
反対な部分
格差という言葉は意味が広い。適切な差をつけるならいいが、筋の良くない差は解消しないといけない。
例えば、日本では同じ仕事をしても正社員と派遣社員で給料が異なることがあり、問題視されている。
既得権を持っている人たちは反対するだろうが、このような格差は是正し平等にすべきと思う。
さいごに
長々と書いたけど、
どのような状況においても最低限の生活は守られ、次のチャンスを伺いながら頑張れる、そして結果を出せば報われる社会
ここを目指したらいいんじゃないかな。と思う。理想と現実は違うのが常。きっとしがらみが沢山あって上手くいっていないのだろう。だけど目指さなければ一生たどりつけない。
ところで、そんなことを主張している政党ってどこだっけ。
「いま世界の哲学者が考えていること」岡本裕一郎 @Amazon