以下の書籍を読了した。
「BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?」著者:ベント・フリウビヤ、ダン・ガードナー
なぜ大型プロジェクトはコスト超過に至るのだろうか。
オリンピックに関する費用が当初予算を大幅に超える、といったニュースは誰もが見たことがあるはず。
そして似たようなケースがあちこちで聞かれる。一度や二度ではない。
あのオペラハウスもそうだったらしい。
「なぜそうなるのか?」を本書は解説し、どうやったら解決できるのか、も語ってくれる。16,000件超もの大小様々なプロジェクトのデータベースをもとに。
コストオーバーラン、スケジュールディレイはどんなメガプロジェクトでも普通であり、プラントエンジニアとしては耳の痛い話である。
なにがまずいのか、どうしたらうまくいくのか、体系的に理解するのに本書はとても役立つ。理系・文系関わらず、大型プロジェクトと呼ばれる仕事に携わるすべての人に読んでもらいたい一冊、と言いたい。
本書は経験者の重要性も説く。紙など資料に落とされないノウハウというか感度みたいなものはあって、これはエンジニアとしては重要なことは理解するのだけど、ビジネスを進める方々からはあまり理解されないことが多い。
プラント建設における、経験豊富なエンジニアの価値が今以上に上がる日が来ると良いのだけど。
その他メモ
モジュール方式について本書では触れられる。
レゴのようにパーツを組んで、設備やシステムを拡張していく。一つ一つを作るうちに製造・建設も成熟し効率が上がっていく。太陽光発電、風力発電が良い例で、プロジェクトリスクが小さいとされる。
逆に、原子力発電所のような大きくかつ複雑なプラントは全てが整わないと動かせず、非常にリスクが高いとされる。とてもわかりやすい。
このブログはWordPressを使っているが、そういえばPHPもモジュールの発想。Header.php、Footer.php、CSS等に分割し組み上げる。本書を読んで、理解が深まった気がした。
おわりに
本書にはエンパイア・ステート・ビル、オペラハウス、ビルバオ・グッゲンハイム美術館、ピクサー映画と誰もが知る案件をテーマに語られ、それら歴史的建造物のストーリーも含め興味深く読むことができた。また、幅広い人にも読みやすく書かれていて読みやすい。
もう一度書かせていただくが、プラント・インフラ等のプロジェクトに携わるエンジニアだけでなく、すべての人に読んでもらいたい一冊。おすすめ書籍の殿堂入りに入れたいと思う。