仕事でとあるプロジェクトのP/LやB/S, Cash Flowのエクセルを読み込む機会があった。英語で。。
これを機に、会計やファイナンスの部分が弱いことを認識することに。そもそもエンジニアとして仕事をしてきてお金もよく扱うのだが、ちゃんと勉強したことはなかった。
そんなとき、本屋で出会ったのがこの本。
『シンプルで合理的な意思決定をするために「ファイナンス」から考える!超入門』
著者:梅澤真由美(公認会計士)
大変読みやすく、わかりやすく、それでいてファイナンスの考え方やいいところ、使い方について理解できた。素晴らしい本だと思うので紹介したい。
概要と本書がおすすめな人
本書はファイナンスの考え方や概念、メリットの説明が中心。細かい計算方法等を解説する本ではない。初めてファイナンスを学ぼうとする人におすすめだと思う。
ファイナンスはマイホーム購入をするかどうかの判断など、プライベートでの意思決定にも役立つ。
また、企業の運営や経営にあたってどういう視点を持つべきか、という点でも参考になる点が多いので、その辺に興味がある人にもオススメ。
本書でいいと思った点
- さらりと読める読みやすさ
- 身近な具体例を挙げ、わかりやすく解説
身近な具体例だと、マクドナルドの戦略についてだったり、社用車は持つかレンタルかカーシェアかなどをファイナンスの視点で解説。
また、NPV、IRR、WACC、KPIなどの言葉も丁寧に解説、実用の方法までわかりやすい。これらのワードに馴染みのない人は、読んでみると自分の世界が広がるかもしれない。
学んだことメモ
いろんなポイントを学ぶことができたので、以下メモ。
- ファイナンスは未来を意思決定する方法
- 会計は企業の過去を記録するための方法。簿記は記録のためのルール
- Cash is fact, Profit is Opinion.
- コストについての考え方、意思決定について
- サンクコストとは。コンコルド効果について
- 固定費・変動費の基本
- 人件費についての考え方
- 時間を考慮したお金の価値
- 事業の事後検証の重要性
あとはよく出てくる単語について。
NPV
Net Present Value (正味現在価値)。現在のお金と10年後のお金は金額は同じでも現在価値にすると異なる。お金の出入りのタイミングが異なる事業やプロジェクトについて、全て現在価値に換算して評価するもの。
なお、これは米国プロフェッショナルエンジニアの試験でも頻出の問題。理解しておきたい。
IRR
Internal Rate of Return (内部収益率) [%]。投資案件自体の利回り。
WACC
Weighted Average Cost of Capital (加重平均資本コスト) [%]
会社で資金を調達するときに利息や配当などコストの比率を計算するもの。投資のために資金調達をする場合、少なくともこのWACC以上の比率で利益を出さないと投資価値がないということになる。
おわりに
本書の本質は、ファイナンス用語の解説やテクニック説明ではない。ファイナンスの考え方を活用し、将来を見据えお金と時間を考慮した正しい判断をすること、その大切さを述べてくれていることだと思う。
改めてタイトルを読み直すとこうある:「シンプルで合理的な意思決定をするため」
マイホーム購入などで判断迷っている人は読むとヒントをもらえるかも。
会社で投資するかどうか悩んでいる案件があれば、考え方のヒントがあるかも。
プライベートのビジネスの意思決定まで、身近に感じられる内容になっている。気分や感覚で判断していたところがあるとしたら、一度この本を読んでみてはいかがだろうか。