前向きな気持ちを持ちたいとき、いつも読む本がある。
三浦知良選手の「やめないよ」と「とまらない」だ。
若い方がどれくらいご存知なのかは知らないが、三浦知良選手は1967年生まれ。50歳を超えてなお現役を続けるレジェンドサッカープレーヤーだ。
2020年現在もJリーグの横浜FCに所属。サッカー日本A代表89試合出場、55得点。
世界を渡り歩き、日本のサッカー界を牽引し、日の丸も背負い、そして今なおサッカー選手としてプレーを続けている。想像を絶する努力をし続けている選手。日本が誇るべきサッカー選手。
そんな三浦知良選手が2010年に出した本が「やめないよ」。そして続編が「とまらない」(2014)。
日経新聞に「サッカー人として」というコラムで連載していたものを本としてまとめている経緯もあり、企業経営者のみなさんからも読まれ、感想やコメントをいただいていたという。
サッカーに関する内容が多いけど、一流の人が考える事は普遍であり、どんな人にもためになる。
僕は前向きになりたりたいときにこの本からパワーをもらう。何回読み返したかわからない。
今日もこのブログを書くために読み返してみて、また涙がでてきた。そんな本です。僕の人生を変えてくれた三浦知良選手の言葉を少し紹介したいと思います。
「やめないよ」
1冊目は「やめないよ」。人生を変えてくれた一冊。
帯に選ばれたことば「上を向いている限り、絶対にいいことがあるんだ」。これを見るたびに、ついついこの本を手に取ってしまう。
いいことが本当にたくさん書いてあるが、人生を変えてくれたレベルの名言をあらためてピックアップしていきたい。
仮にFW経験がない監督が僕にシュートに関して指示をする。「シュートで教わることはない」と考えるようでは、伸びない。耳を傾け、プラスとなることを探すことだ。
学ばない者は人のせいにする。学びつつある者は自分のせいにする。学ぶということを知っている者は誰のせいにもしない。僕は学び続ける人間でいたい。(2010.11.5)
「やめないよ」三浦知良著
この言葉は多くの人の心に刺さったようで、この本のレビューコメントや感想、書評記事を読むとその中で必ずピックアップされている。
僕もそんな1人で、最後のセリフが頭から離れることはないだろう。
今思えば、「エンジニアが学んだことをシェアします」というブログタイトルも、三浦知良選手の言葉に影響されているのかもしれない。
僕も学び続ける人間でいたい。
物事、悪い時はそうじゃないですか。誰も助けてくれない。でも、そうした状況を覆せるのもまた、自分たち。毎日はその準備のためにある。日々の練習がそのためにあるんだ。(2009.3.20)
「やめないよ」三浦知良著
今の時代、批判や文句が増えた気がする。個人的な感覚だけど。
批判するのは簡単で、1つでもダメなところを見つければいい。でも何事も完璧なんていうことはなくて、常にトレードオフの関係にある。
車の設計を例に取れば、スポーツカーなみのエンジン積んでるけど超省エネみたいなことはできない。そこのバランスをどうとるかが設計者の腕の見せどころ。
サービスだって一緒。お金をかければ良いサービスは提供しやすい。でも高くなる。批判するのは簡単だ。だけど、しがらみがある中でバランスをとることの難しさ。
「じゃあ、どうしたらいいの」ここを考えて提示できる人にはやはり価値がある。大小様々なスケールで問題が山積の日本。自分自身でなんとかできるレベルの問題もある。それをどうにかするのは自分次第。僕はいつもそう考えている。
いつも文句や批判は立派で「誰かになんとかしてもらおう」という人に何かをお願いする気にはならない。日々前向きに課題に取り組み、物事を前に進められる人を目指したい。
ファッションもサッカーも、何が正解で何が間違いというものじゃない。ただ、だからといってなんでもOKというわけじゃない。基本ができていないと何をしてもダメ。基本をしっかり押さえた上で、自分の色を出して楽しむ。それが一番難しいことなんだ。(2009.6.26)
「やめないよ」三浦知良著
これも好きな言葉。仕事も同じだと思う。基本をしっかり押さえること。
今はフリーランスという言葉もあるけれど、社会人としての基本は絶対に必要。人にお願いするとき、人と仕事をするとき、必ず必要になってくる。
学生時代からそういったことに長けている人もいるけれど、新入社員のみなさんを見ているかぎり全員がそうではない。会社に入って学ぶこともたくさんある。
何のグループにも属さず一人で稼ぐという人がいてもいい。でも最低限の基本は押さえたい。ビジネスを営むなら、人とのつながりが必ず出てくるから。
そしてファッションにも言及されているが、やはり基本というものがあると感じる。サイズ、色、組み合わせ。そういった基本は教科書には書いていないし、義務教育の中で習うこともない。でも最近はファッションに関するウェブサイトも充実しているからいい時代になった。
基本を押さえた上で自分の色を出す。難しいけど大切にしたい。
俊輔はこれから、仲間や街になじまなければならない。1つのFKで人生が変わりもするだろう。新天地での挑戦はいつだって、誰だって難しい。
でも、人生は、いつの瞬間だって挑戦なんだ。(2009.9.4)
「やめないよ」三浦知良著
以前僕が海外勤務で全く違う環境にて仕事をすることを決意したのは、この言葉が頭に入っていたからだと思う。断ればずっと日本で仕事をすることになっていたかもしれない。英語だって全くしゃべれないままだったかもしれない。
「でも、人生は、いつの瞬間だって挑戦なんだ」
この言葉が僕の背中を押してくれる。海外に挑戦するときも、前向きにトライした。いつもこのように考える意識をしていたから、次第にこれが自分の考えの中になじんできたというか。自分の無意識の中で、常に何かに挑戦しよう、となっていると思う。
日々のちょっとした決断。それを常に前向きに、そして挑戦を。そうやって人生がポジティブに進んでいくんじゃないかなと、今、思う。
やめないよ (新潮新書) @Amazon
「とまらない」
この本は2冊目。やはり帯にうたれた「前へ。次へ。先へ。」がステキすぎる一冊。
「成功は約束されていないが、成長は(本人次第で)約束される」
日本代表のザッケローニ監督はいいこと言うね。
「とまらない」三浦知良著
やっても意味がない。上手くいかないかもしれない。ついつい人はやらない理由を探しがち。でもうまくいく保証なんてどこにもないし、やってみないとわからないことが多い。
リスクをしっかり検討することは大事だけど、まず考え、やってみる。それが僕らの成長につながる。
仕事もそうなのだけど、誰かについていって仕事を覚えているうちはまだ自分の経験になりきっていない。自分で考え自分で実行する。そして失敗を繰り返しながら学んでいく。そうやって得た経験こそが血となり肉となる。
自分でやったほうが絶対成長につながるから、僕は基本最初は自分でやることにしている。このブログも、みなさんの解説を参考にしながら一からデザインを決めてきた。記事だって誰かに書いてもらうということはない。何かをアウトソースするかどうかを決めるのはまずは自分でやってみたあと。
成功するかはわからない。でもやった人しか成長しない。成長するかどうかは自分次第。
自分で行きたいと言ってブラジルへ渡った。イタリア挑戦もシドニーFCへの短期間の移籍も、全部自分で決めた。人生は自分の選択。だから成功や失敗はあってもそこに悔いはない。
「とまらない」三浦知良著
三浦知良選手ほどの人なら周囲に批判する人もたくさんいただろう。そんなところに行っても意味がない、とか何のために行くのか、とか。
そんな中で自分を保ち、自分で決めてきた精神力というか。本当にすごいと思う。すごすぎる。
他人には頼らない。もちろんアドバイスをいただいたり意見を聞いたりする。でも最後は自分で決める。俺が決める。これを意識したい。
「俺の時代はこうだった」
そんなもの、今日の練習には関係がない。トレーニング法もスポーツ医学も新しいものがどんどん生まれる。良いものならためらわずに取り入れる。
「とまらない」三浦知良著
30代も中盤になってくると、ついつい「昔は…」と言ってしまう。本当に。
そのあと気がついて「でも今は時代が違うからね…」と修正する。気をつけないと無意識に昔を思い出し比較してしまう。経験も重要なのだけど、今最新を常に学び、よりよい選択をしていく。
特に今は少しでも同じ場所に居座ったら置いていかれてしまう時代。アンテナを立てつつ、でも自分の芯は持ちつつ、新しいことにチャレンジしていきたい。
とまらない (新潮新書) @Amazon
おわりに
ここで紹介した2冊は本当におすすめだ。
どちらか一冊を選ぶなら、僕は最初の「やめないよ」をオススメするかな。
サッカー界の一流の生き方を数百円程度で学べるのだから、読書はすばらしいとしか言いようがない。
サッカー好きな人にもそうでない人にもぜひ読んでほしい。みんなが前向きにチャレンジするマインドになったら世の中も明るくなるんじゃないかなと思うので。